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戦争映画となると、オールスター勢揃いの大作「史上最大の作戦」1962年
が代表といえます。
その後「特攻大作戦」1967や「荒鷲の要塞」1968年の様な戦争活劇の
時代となりましたが、その後しばらく戦争映画下火時代が続きました。
また再開したのは1998年に(スピルバーグ)監督が「史上最大の作戦」
のリメイク版ともいえる「プラベート・ライアン」、銃弾が肉体を貫く
超リアル映像を創り出した。
その後は全てCGを駆使した派手なハリウッド戦争映画が続いた。
そのCGを廃し、大軍対大軍の戦闘を廃し、派手な戦闘を廃し、
有名スターを廃して作った静かで恐ろしい戦争を作ったのが
(クリストファー・ノーラン)の「ダンケルク」2017年であった。
舞台は1940年の5月―6月フランスに侵攻したドイツの大軍は
英仏の連合軍約40万人をダンケルク海岸に追い詰めた。
正に全滅の危機である。英国首相チャーチルは撤退を命じた。
しかし撤退するため戦艦が全く足りない、そこで民間人たちによる
漁船やヨットなどあらゆる船舶が救援に駆け付けたのだ。
実際はもっと大規模な戦闘があったのだろうが、ノーランはCGを
廃して、70mmフィルムで撮影した。しかも本物の英国戦闘機スピット・
ファイアーと独戦闘機メッサー・シュミットを使い、本物の軍艦を使い、
陸、海、空の3軍の象徴的な戦闘シーンに限定した。
多分実戦場では、戦うよりも撤退する兵士方が恐怖であろう。
音が無い、セリフが無い静かな戦争こそ恐怖の極みであった。
米軍が出てこない、英仏の撤退作戦ゆえ、ハイウッドのド派手
映画とは全く異なる戦争映画、渋い英国俳優の真骨頂である。
英軍中佐(ケネス・プラナー)、スピットファイアパイロット(トム・
ハーディ)小型船船長(マーク・ライアンス)ですものネ。
投稿情報: 13:28 カテゴリー: た | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
その劇的な生き方によって、最も人気のある戦国武士といえば織田信長
だろう、そのせいか近年、信長に関する小説が多数書かれヒットしている。
小説の多くは、信長の英雄ぶりや生き様である、さらに本能寺で生き延び
たなど異説、謎解きものもブームだ。
そんな信長小説の中で、信長本人でなく、信長に仕える者、それも武士で
なく下々の職人達を題材にして「信長テクノクラート三部作」を次々と
発表する小説家がいた。「山本兼一」氏である。そして2009年に茶道匠
利休を画いた「利休にたずねよ」で見事、直木賞を受賞しました。
山本兼一の三部作は、鷹を操る鷹匠を画いた「白鷹伝」、鉄砲師匠を画いた
「電神の筒」、そして今回映画化された、城を造る大工を画いた「火天の城」
であります。監督は 田中光敏。
1576年、長篠の戦で武田勢を破った織田信長が、いよいよ天下を治めるべく
琵琶湖に臨む安土山に前代未聞の巨大な城「安土城」を築くことを宣言した。
その築城の総棟梁を任されたのが、宮番匠(大工)岡部又右衛門(西田敏行)
であった。信長は絶対権力を持った天才である、要求は半端ではない、
山全て城とせよ、天主は5重によせ、南蛮風にせよ、中は吹き抜けにせよ、
3年で建てよ、次々押し寄せる難題、要求に応えねばならなかった。
いやはやこれだけの建築物、構造計算が大事、当時は計算式というより
経験測でやったのだろう、天主を支える親柱は「木曾の檜」2尺5寸角
(75cm角)が絶対必要と樹齢2000年の檜を求めて山をさ迷う行、最後
の親柱切の断行は、いかに基礎が大事かを教えてくれた。
(椎名桔平)の信長振りが良い、スリムな体付きに異彩な衣装をまとい、
ややつり上がった目、孤高な天才信長を見事に演じきった。私の歴代信長
役者に加えておこう、中村錦之助、高橋幸冶、高橋英樹、そして椎名桔平。
(寺島進)は、大工若頭、彼に右腕役をやらせると旨い役者ですネ
頼りになって、優しい男、彼の本性なのでしょう。
城は見事に完成した、燦然と輝く城、正に絶対権力の象徴であった。
しかしその3年後信長は本能寺で明智光秀に討たれ、その2週間後に
安土城は謎の炎上により焼け落ちた。
宮番匠岡部又右衛門は本能寺で信長と共に命を落としていたのですネ
映画を通してまた、歴史の中の縁を知りました。
投稿情報: 05:00 カテゴリー: か | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
缶ビール持ち込んで「まこのへー」主演の
U-571を観て参りました。久しぶりの明快戦争アクション映画でした。
正に「ナバロンの要塞」’61「荒鷲の要塞」’68の流れをくむ特攻作戦映画で
戦争の是非は問いません。たまにはこんなの良いですネ
この映画を面白くしたのは、やはり映像技術の進化でしょう、魚雷が
船側をぎりぎり翳めるシーンや、爆雷が指令塔すれすれで爆発するシーン
指令塔の内が爆雷大音響で大震動する迫力は一見の価値ありで、かっての
名作「U・ボート」’81や「眼下の敵」’57ではとても映像化できなかったものだ。
しかし潜水艦ものは、どうしても舞台は閉鎖的艦内、敵は潜水艦か
駆逐艦なので内容は似てくる「Uボート」での大破損修理の腕前
「敵対水域」’97での若者の犠牲的バルブ回し「眼下の敵」の爆雷を避けて
危険水深までの沈下などエピソードが似てくるのは止む得まいが、
この映画、欲張って全部採用した。
でもなんだか見終わった印象が、ちゃちでした。
しかたありませんネ、この映画は戦勝国アメリカが作った
「作戦遂行のためのリーダーシップ論」なのですから・・・
投稿情報: 19:22 カテゴリー: ゆ | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
日本の神さまたちは、休みをとって温泉旅行をするのです。
アニメは「白蛇伝」’58以来ご無沙汰、さすがに古すぎると反省、
今回縁あって(実は中3の娘に誘われて)、スタジオジブリ製作の
( 宮崎 駿 )監督作品 [千と千尋の神隠し」を鑑賞しました。
世界アニメ映画界では日本はトップクラス、誠に誇らしいことだ。
劇場に入ると中は超満員、こんなこと数十年ぶりの経験ですワ
私、女房、娘とも座るのがやっと、丁度この映画の内容と同じで、
家族はバラバラにされてしまった。
あらすじは
10才の少女(千尋)が家族ドライブの途中、「雪国」ではないが
「トンネルを抜けると、そこは、不思議なもののけの温泉峡だった」
なんと、そこで両親は哀れ豚に変身させられた。
千尋は生きていくために、この温泉の下働きをせねばならなかった。
この温泉峡の市街が、何とも言えず、ノスタルジック、どこか見覚え
のあるなつかしい風情だ。私の幼少のころ行った温泉だろうか?
風呂屋も松山の道後温泉「ぼっちゃんの湯」に少々似ているかナ、
湯屋の内部造作も丹念に画いており、背景デザインはすばらしい。
温泉の客達は八百万(ヤオヨロズ)の神々である。
元々日本には自然崇拝がある、太陽や海、川、森,巨木、巨石、米に
野菜に畏敬を感じ祭る習慣がある。日本人は何にでも手を合わせます
よね、キリスト教やイスラム教の如く強力な一神教では、この作品は
全く成り立ちませんものネ。
この映画のすばらしさは、神々の形相(キャラクター)である、
それぞれ個性的で誠に面白い、作者の創造力の豊かさに感心した次第。
宮崎監督は「10才くらいの女の子のために作った映画」との由、
我が娘はすっかり感情移入しておりました。目的は十分果たしましたゾ。
それから皆さんご指摘の如く、私には珍しいことなのですが
エンドローリングも幕が閉じるまで、ゆっくり主題歌を楽しみました。
http://oak75.typepad.jp/dicky/
投稿情報: 18:55 カテゴリー: 2001 見た映画, せ | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
「S.W.A.T」とは、Special Weapons And Tacticsのこと、
日本語訳できぬが、とにかく特殊部隊のことですワ
映画「交渉人」'99でSWATに狙いまくられた(サミュエル・L・
ジャクソン)が 今度はSWATのリーダーで登場した。
当時よりぐっと貫禄が出て、なんだか(モーガン・フリーマン)の
域に達した印象。
映画「交渉人」のSWAT隊長(デビット・モース)を見ているので、
S・W・A・Tは犯人を殺したくて、殺したくて、たまらない人種
の集まりと思い込んでいたが、この映画ではそうでもないらしい。
命令違反者(ジェレミー・レナー)は即刻クビになってしまった。
彼を見ていると「時計じかけのオレンジ」'71の主役(マルコム・
マクドウェル)を彷彿させる、自意識強く屈折したキャラが旨い
役者である。
悪役フレンチ・マフィアの若きボス、このニヤケ顔どこかで見たが、
思い出せない、しかしボスの割に世の中甘く見すぎたようだ、
(簡単な墓穴シナリオに不満あり)。
思い出した!「運命の女」'02であのダイアン・レインとトイレの
中で交わった憎いフレンチ野郎(オリヴィエ・マルティネス)か!
女SWAT(ミシェル・ロドリゲス)、「ガールファイト」’00以来
すっかり格闘技付いて、強く格好良い。
「スズメバチ」の女警官同様、戦闘アクションに出てくる女性は
皆たくましいシングルマザーと相場が固定している。
子供第一主義、男はたまに楽しむ相手と、割り切っているのだ。
C・ファレルとの格闘技を期待したが・・・。
さて主役SWATは(コリン・ファレル)毎回イメージが異なる、
「ジャスティス」'02の時はマジメ誠実な軍人弁護士、
「デアデビル」の時は憎憎しい殺人鬼に大変身、今回の役が
本人の正体に近いと推測、誠に精悍、かつ機敏、これでは女性に
もてないわけが無い。
今回はC・ファレル、O・マルティネス、J・レナーなど
若い群像を嫉妬しながら見ていた次第。
女を排除した男群像映画である。後半少々警官募集のための映画
に思えた。まぁ!たぶんSWATの全面協力ゆえ止むを得ないか。
投稿情報: 14:43 カテゴリー: 2003 見た映画, す | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
ビリー・ボブ・ソーントンは7つの顔を持つ男
舞台は冬の中西部、ミネソタ、アイオワ、ウィスコンでしょうか
( 私も時々行く事があります)ここの冬は曇空と雪そして寒い、
広葉樹の森があり、小さな町がある。町の人は親戚か知り合いばかり。
そんな中での犯罪・・
暗い結果を予感しましたが、 やはりでした。
登場人物は本当に普通の人、森の中に墜落したセスナから
5億円を見つけてしまった。これを届けずに、着服してしまった。
さてこの秘密を守るため、
次々細工をする度に、殺人を重ねてしまうのです。
「大金を掴んだとたん欲望の固まりとなり全員殺し合う」のは
B級映画や学生の自主映画に良くあるプロットです。
そんな学生的プロットで、この映画が成功したのは、正に俳優の
演技の旨さにつきますネ。まじめなハンク(ビル・パクストン)が
妻の言葉に左右される表情、迷いながらも意を決し、殺人に至って
しまう経緯は違和感なく誠に旨い。
子を身ごもり、幸せそうな妻サラ(ブリジット・フォンダ)の心の中は、
その実は満たされていなかったのだ。そして一旦決心した後の女の強さ
は凄い、そして女の智恵は? これらを押さえ気味で旨く表現していた。
悪友ルー(ブレント・ブリスコー)の愚かさぶりも旨い。
そして何と言っても兄ジェイコブ(ビリー・ボブ・ソーントン)の演技は
抜群であった。少々魯鈍、言・動はおろか、しかし真理を知っている。
一見、世捨て人の様だが、本心はささやかな平凡な幸せを求めていた。
父親の影響、弟に対する嫉妬とそして深い愛情、良心と肉親愛の葛藤
などなど・・
この複雑な人物を演じたというよりこの人物を作り上げた感じがする。
(B・B・ソーントン)は7以上の顔を持つハリウッドの多羅尾判内だ。
もう本当の顔を忘れてしまいました。
、
投稿情報: 14:38 カテゴリー: 1999 1998 見た映画, し | 個別ページ | コメント (0)
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