ハリウッドにおける「スター」の定義は「映画会社が名前だけで
出資を決める」というものだが、トム・クルーズは「彼を念頭に
した企画が数多く立てられる」くらい突出した存在であります。
そして今、彼は彼自身の力で自分のための作品を造り出す権力者と
なった。その象徴的な作品こそ「バニラ・スカイ」なのです。
この映画は、作品そのものとしてはそんなに悪くはないのでしょう
しかし、この映画の存在自体に何か不可解な感じがするのです。
この映画は映画フアンなら、ご承知と思いますが、3年前に
第11回東京国際映画祭でグランプリに輝いたセンセーショナル
且つ優れた「スペイン映画」をリメイクしたものなのです。
普通、リメイクというのは相当昔の話題作を、新しいスターを使い
新しい切り口で表現するものです。来春上演の「オーシャン's11]や
「リプリー」などがその典型でありましょう。
昔のヒットTV番組を映画でなつかしくリメイクするのも多い様です
バットマン、逃亡者、ミッションインポシブルなどです。
それがこの「バニラ・スカイ」はほんの3年前の作品「オープン・
ユア-・アイズ」('97)を観た(トム・クルーズ)がいたく感動し
ハリウッドでの映画権を取得し,早々作ってしまったのです。
金持ちの子供が、よその子が遊んでいるオモチャを見て欲しがり
そのオモチャを金で譲ってもらう事はあり得えます。
本来映画というものはクリエイティブなもの、その映画を金で買い、
自分を主役に「置き換えただけ」の映画作る愚行をやってしまった
のです。脚本も同じ、映像カットも同じ、極めつけはヒロインまで
込み込みで買い上げてしまったのです。
T・クルーズという男は一体何者なのでしょう。
この映画のおもしろさは最後のどんでん返し「夢オチ」であります。
ある意味で、これは禁じ手、一回のみ使用可能なツールであります。
原作品を観た方にとり、正体の判っているリメイクものなどは
最初から価値は半値ものだったのです。(初観の方は別ですが)
この作品はハリウッド作品故、原作(O.Y.アイズ)より金を掛けたはず
しかし原作より優れているとは到底言えません、原作の舞台はスペイン
マドリッド、欧州人特有の男女の機微や倦怠感が感じれた。
特にヒロイン(ペネロペ・クルス)は同役でありながら、原作品の方が
はるかに魅力的だったと記憶する。若く、美しく、可憐で、自国語の
スペイン語のせいか、役としても旨く、ヌードもはるかに美しかった。
暇な人はVTRで見比べて下さい。
新作で良かったのは、愛人(キャメロン・ディアス)のみ、
彼女の4回S@X話には正直クラクラと目眩がしました。
T・クルーズは一般的には礼儀正しく、モラル高い男のイメージが強い
しかしニコール・キッドマンを「ディズ・オブ・サンダー」のヒロインに
抜擢し、先妻ミミ・ロジャースに引導を渡した。
今回も(ベネロペ・クルス)を映画権ごと買収し、前妻N・キッドマンに
引導を渡した。両者とも莫大な慰謝料を払ったと聞く。
今のT・クルーズにはハリウッドで出来ない事はもはやないのだろう。
これは権力者の特権であろうが、くれぐれも「裸の王様」にならぬ様
祈るばかりであります。
今回は偏見的私見からの発言多く筋金入りのT・クルーズファンには
お詫び申して置きましょう。
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