1973年大ヒットした映画元祖「日本沈没」が33年ぶりにリメイク
されました。題名は同じ「日本沈没」、パニック映画好きの私は
迷わず速やかに劇場に直行しました。
73年版映画では、日本が沈没するメカニズムを詳細に説明していた。
実際に太平洋プレートは、日本海溝の中に少しずつ引っ張られ沈み
込んでいる(日本で地震が多いのはその時のエネルギー放出による)
結果、日本列島がそのプレートに乗ってしまい、海溝に沈没して行く。
当時、地球物理学の権威者(故・竹内均)先生も理論的には
正しいと言っていたと記憶、爾来 「いつか日本は沈むのだ」と
私の心に刷り込まれ、爾来 諸行無常、盛者必衰 正に平家物語
の心境で生きてきた次第です。
パニック映画の面白さは、正体が判るまでの様々な予兆と、
おかしな異変にうろたえる民衆の愚かさである。
そして、地球大崩壊が始まり、いよいよ人類破滅の様々な
エピソードこそ楽しいのだが、この新作「日本沈没」では
一挙に日本が沈没をはじめてしまい、予兆の楽しみをカット
してしまいました。
33年間で映画技術はかなり進化しました、日本の沈没映像は
まぁ良かったです。でも何だか出し惜しみしているのか?
特撮シーンが短くて、破壊映像をたっぷり見たい私には欲求
不満でした。その分を ヒーロー、ヒロインの恋愛シーンに
割愛してしまった。多分この監督、この映画は「パニック映画
でなく恋愛映画だ!」と言いたかったのかもしれない。
その恋愛も、昔のメロドラマ風にバックミュージック付きの
少々大げさなシーンが多くて困った。に・にも拘らず、日本人類
滅亡の瀬戸際(たぶん自分も恋人も死ぬだろう)だというのに、
恋人(柴咲コウ)ちゃんも求めているのに、この場に至って
純愛を貫くなんて!(草薙剛)くん、君は男か?不実じゃないか!
この映画を見て思ったのは、日本人は何て大人しい国民だ!と、
せいぜいスーパーでトイレットペーパーを盗むくらいなのか?
粛々と屠殺場に向う羊の群れみたいだ。
いやしくも日本の国土が沈み、地球規模の大崩壊となれば、
人間はどうなるか?生きるための生存競争がはじまるだろう、
民衆同士の殺し合い、暴動や銀行襲撃やレイプも起こるだろう、
当然、戒厳令が敷かれるはずだ。
こんな時はマツケンサンバなんかを踊り狂う宗教団体が出て
くるものだ、そうなれば危機管理大臣(大地真央)は私怨も
含め厳しく弾圧するはずだ。
日本政府は日本人海外移住計画をどんどん進めるはずだ、
土下座外交をしても、今までの経緯から中国や韓国は冷たかろう!
米国はこれ幸いと日本企業の海外資産を凍結するはずだ!
この辺をもっとシュミレーション宜しく、映画に取り入れて
社会的な作品にすべきであった。しかし新作はこの面をさらり
と端折った。
地下の臨時政府すら崩壊した、もはや日本に安全な場所など
ないのだが、もんじゃ焼き屋「ひょっとこ」の皆さんの半径
5mのみは安全みたいだ、周りはどんどん崩れ落ち、屍の山、
しかし彼らのみ何とか助かる、いくらヒロイン縁の人達と
いえ、笑ってしまいましたヨ、身内贔屓主義だ!
プロデュサーはこの映画のテーマを取り違えましたね
脚本も少々チープかな。
コメント
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