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なかなか観るに腰が上がらぬ映画があるものです
この「アメリカン・ヒストリーX」も暴力・家庭破壊・人種差別が
テーマ、重すぎて劇場行きが遅れに遅れた。
やはり最初の内は、観るに辛く、途中で出ようかとまで思ったが、
中盤からどんどん画面に惹き付けられ、完全にハマッテしまった。
終わった時はショックで手に汗をかいていた。
主役の(エドワード・ノートン)は只者でないと実感。
真実の行方('96)やファイト・クラブ('99)で神経質な性格俳優と
思っていたが、アメリカンH・Xで見せた裸体はスタローンばり
スキンヘッドにナチスかぎ十字のタトゥーは、恐怖そのものだ。
この映画を観てつくづく恐ろしいと思ったのは、暴力シーンでなく
「子供の教育」である。純真無垢な子供に吹き込んだ、親の人種差別
発言は子供が偏向して行くキッカケを作った。また尊敬する兄を盲信
するあまり弟も同じ道を歩むのだ。
今世界は人種と原理主義と宗教の違いで憎しみの戦争を繰り返している
この映画は「憎しみと怒り」では何も解決しないと訴えていた。
辛いが必見の作品でありましょう。
投稿情報: 12:55 カテゴリー: 2000 見た映画, あ | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
話題作「アメリカン・ビューティー」やっと観ましたので、一言
なるほど現代アメリカの家庭生活の崩壊、病めるアメリカ人達を
コミカル&シニカルに表現し得た作品でした。
何ゆえこの作品が絶大なる評価を得たのか?もはや、この物語は
特殊な家庭の出来事でなく、大なり小なり自分達の家庭もこの傾向
あり!と見えるからでしょう。(当然ジャパニズ・ビューティーつまり
日本人の生活様式同じだ。)
世の中、一見幸せな家庭でも、とっくに愛は消え、価値観の違いで
喧嘩ばかりの夫婦や「仮面夫婦」は多い、また親を嫌悪する
反抗期の子、さらに親の手におえない「おかしな子」を持つ家庭も
多い。そんな中で生きていると皆、精神のバランスが狂ってくる。
そのストレス解消として、夫のオナニー、ホモ、ロリコン願望、
妻の不倫、ピストル所持、高感度ビデオのぞきなど、人間の隠れた
本性が出てきて、ゴタゴタするのが面白い。
そして「隣人は静かに笑う」ではないが、薄気味悪いおかしな人々も
近所に多々いる現実を見せてくれる。
夫婦・親子・友達、ボーイフレンド、隣人など全ての登場人物に、
ちょっとした振る舞いをさせて、その人柄を理解させた旨い映画
でした、特に映像カットが素晴らしかった。
「赤い薔薇」のお風呂に入ったアンジェラ嬢こそ、この映画のシンボル、
「アメリカン・ビューティー」であり、金髪で青い目、真っ白い肌の
美少女ロリータが大人の男を挑発する。
しかし、アンジェラ嬢はいかれたハイスクールの軟派娘と思いきや、
映画が進む内に意外と人を見抜いている子だと感じはじめた。
友の父親に誘惑の目を向けたのも、彼の内なる優しさに気付いたから、
隣りの青年をサイコと見抜き、毛嫌いし、特に、親友の駆け落ちを
「薬の売人と行っても幸せになれない」といさめたのもスゴイ。
そして、「いよいよの時」のオチにまいった!
父レクター(K・スペーシー)は目がさめた!軟派なつっぱり女と思って
いたが小心繊細な子だったのだ。
彼は判った、この子に自分の娘を見たのだ、娘も父を愛するがゆえ反抗
していたのだと。
しかしこの映画の最後の結末は正直失望した!
死人のナレーションもふざけすぎて好きになれなかった。
昔ならこんな結末に5のアカデミーは有り得ないのではと思いました。
皆様の評価はいかがでしょうか?
投稿情報: 12:51 カテゴリー: 2000 見た映画, あ | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
今まで全く暇なく やっと投稿できました また再開します。
藤沢周平の小説が好きで、黒澤明の映画が好きな人が必見の
映画、という訳で「蜩ノ記」に一言
葉室麟(はむろ りん)はよく藤沢周平の後継と言われているが
彼が2012年に直木賞を受賞した同名の作品を映画化したもの。
一方監督は小泉堯史(たかし)、彼は黒澤明の愛弟子であり
黒澤明の絶筆といわれるシナリオ「雨あがる」2000で初監督を
務め、以来黒澤組を率いて黒澤的映画の作成を続けている。
ある東北の小藩で世継ぎを巡ってお家騒動があった。
当時の江戸幕府は財政改革のため、お家騒動があった藩は
それを理由にお家取り潰し取り潰しを計っていた。
当藩はお家騒動を隠ぺいし、藩の郡奉行と側室の不義密通事件と
して処理した。その奉行の戸田秋谷(役所広司)に10年の執行猶予を
付つけて切腹を命じたのだ。その10年間とは藩の歴史「三浦家譜」を
纏めるための猶予との藩命を受けたのだ。
農家に幽閉され編纂を続け、期限はあと三年に迫っていた、藩は谷秋の
逃亡を監視するために檀野庄三郎(岡田准一)を派遣した。その農家で
秋谷と妻・織江(原田美恵子) 娘・薫(堀北真希) 息子・郁太郎
(吉田晴登)との同居生活が始まった。
編纂を手伝い、一緒に暮らす内、庄三郎は秋谷の人間性にひかれ、
戸田家の一員になって行く、そして事件の裏を調べ始めたのだ。
現在の岩手県遠野を舞台に、東北の杉の山林と冬の雪は美しい。
黒田官兵衛の岡田さん、あんたは凄い役者になりましたネ
特に精錬な武士を目指す、少年幾太郎の姿がすがすがしく好感。
さて顛末であるが、観終わって欲求不満が残った、いくら藩のため
とはいえ、全て自分一人が背負って潔く切腹はないでしょう?
しかも悪党は少々反省するも、そのままではではネ・・・
やはり勧善懲悪、水戸黄門で行くべきです。ハリウッド映画だったら、
観客からブーイングの嵐ですワ。小泉監督!私なら映画化では勇気を
持って、別バ~ジョンにすべだったと思います。
(ジョディ・フォスター)さんは決して「泣き寝入りしない女」だ。
「告発の行方」'88 では、法廷で闘うレイプ被害者を好演し、
見事アカデミー主演女優賞を受賞した。「羊たちの沈黙」'90 では、
あの(人食いハンニバル)に負けない女FBI捜査官を演じて、2度目
のアカデミー主演女優賞を獲得しました。これに味を絞めたのか・・
今、さらに拍車が掛かり、「パニック・ルーム」'02でも、「フライト・プラン」
'05でも、わが子を守るため敢然と闘う女に成長し、さらに極めつけは、
この映画「ブレブワン」の女と言えましょう。
大都会NYのラジオ番組のパーソナリティー、エリカ(J・フォスター)
は自立した女性、婚約者がいる、静だが充実した幸せの中にいた。
ある夜、犬の散歩中、二人は暴漢に襲われ、彼は目の前で撲殺された。
瀕死の彼女は一命は取り留めたものの、精神の安定は戻らなかった。
殺人が頻発するNY、警察の捜査はおざなりである、失意のエリカ、
なにを思ったか、彼女は闇で一丁の拳銃を手に入れた。
そしてある深夜のコンビニ、入ってきた男が突然一人の女を射殺した。
その場に居合わせたエリカに銃が向けられた時、持っていた拳銃で
男を撃ち殺したのだ。恐怖と自戒の念、しかし心に安定が生まれた。
深夜の地下鉄、二人の無頼が寄って来て金を無心、彼女は容赦なく
二人を射殺、そして何事も無かったように電車を降りた。
その後、深夜のNYで同じ拳銃で悪党が粛清される事件が連続し
これは「自衛主義者」の仕業と世に持て囃される。
いやはや!これはまるであの「狼よさらば」'74ではありませんか、
妻子を殺された刑事が、世の悪党(ダニ)を粛清して行く内容デシタ、
「狼よさらば」「ロスアンゼルス」'82「スーパー・マグナム」'86と
いわゆるデスウイッシュ・シリーズとして一世を風靡した名作ですヨ
J・フォスターはまるで女チャールズ・ブロンソンになりましたネ
今の世、あまりにも無慈悲に、単なる欲望を満たすため、理由もなく
無辜の人が殺され過ぎます。
それに対して、その犯人の人権のための裁判が多く、被害者家族は
苦しみ、とても心は救われません。「光市母子殺人」が代表的な例。
古くは無残な「少女コンクリート詰め」殺人事件もあった。犯人の
少年達は微刑で世に出てまた殺人を犯した。
被害者に代わって国家がキチットやってくれないなら
「自分であだ討ちをする」という風潮が出つつある。
この映画「ブレイブワン」=勇気ある人(女)との題の如く
賞賛しているし、かつ結末も「あだ討ち」に理解を示しています。
いやはや報復合戦にならぬうちに我が国も手を打つべしと思いますヨ。
投稿情報: 12:20 カテゴリー: 2008観た映画, ふ | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
「ラスト・サムライ」を謹んで観賞致しました。
米国人が作った時代劇、その表現と映像に驚くほど違和感が無かった。
米国人の目から見た侍=日本人象、これほど敬意を表し、好意を持って、
表現した映画を知らない。
明治新政府の軍事顧問として訪日した米国の元騎兵隊将校オールグレン
(トム・クルーズ)は政府に反旗を翻す侍軍団の捕虜となってしまった。
彼は、その侍軍団の集落で一冬過ごし、侍の生活を垣間見る。
質素・清潔・全てに自制的な生活、あらゆる武芸に励み、
精進する姿、仏教典を読み、瞑想し、精神の修行に励む姿、
武道、農耕の傍ら、書道・活花・茶道を嗜む優雅な姿であった。
それらは米国人には到底信じられぬストイックな世界であったのだ。
その最も純粋な形=侍の原型は氏尾(真田広之)だ。いやぁ~渋い!
甘さを廃し、無駄を排し、質実剛健そのもの、剣さばきは見事。
実際彼は子役の時代、アクション第一人者時代を通して徹底的に
剣さばきを仕込まれている。本当に凄い役者になったものだ。
頭領の勝元(渡辺 謙)、この人は武士の強さに、更に知性が加わる。
毎朝、仏典を読み、教を唱え、なんと英語もしゃべるのだ。凄い!
元々、明治天皇に文武を教える立場であった人、そのまま元老院に
いれば首相になったであろうに、義をつらぬき政府に反旗を翻した。
正に「武士道とは死ぬことと見付けたり」そのものであります。
勝元の妹たか(小雪)、夫をオールグレンに殺されたにも拘わらず、
勝元に命ぜられ、オールグレンの治療と世話を命ぜられる。
憎みながらも、次第に彼に惹かれて行く、彼を見守る姿には、
秘めた妖艶さを醸し出していた。
死を覚悟の出陣の時、彼の身支度をする女の手と目。ぞっとする
エロティックなシーン、米国なら、ここで一挙に思いを遂げる
のだろうが、ここは我満をし、「武士道とは忍ぶ恋と見付けたり」
ストイックに日本映画に徹した。
カメラワークがとても美しい、日本の村落、サムライの武芸と
質素な生活はまるで黒沢映画の趣がある。多分優秀なるカメラマン
なのだろう。
トム・クルーズは紛れもない大スターであるのに、この映画では
日本の侍の生活を体験しながら武士道を紹介する「狂言回しの」
様な役に徹した。
しかし、サムライを尊敬し、生き方に共感し、次第に剣術の腕前も
上達し、立派なサムライとなる。近年にない好演だと思いますヨ。
この映画は戦場シーン(特に落馬)が優れています。
アカデミー委員会さん!ここは今回、何としても!
トム・クルーズさんに主演男優賞をさし上げて下さいませ。
投稿情報: 05:28 カテゴリー: 2003 見た映画, ら | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
島田紳助がいみじくも述べた「日本の女性は福山雅治に支配されている」と、
某下着メーカーのアンケートによると「ホワイトデーに下着を贈られたい男」
のNO1に選ばれている。
なるほど 我家の女房も、80を過ぎた義母までも、彼の大ファンと聞くと、
女性を支配している言はうなずける。
ふむ~天は二物を与えず というが、神も均等配分作業の手を抜いたのか
福山雅治に与え過ぎている。ハンサム、長身、美声、音楽才能、写真才能、
この映画を見る限り頭も良い、また相当稼いでいるから 金持ちだろう。
往々にして、上の如く全てを持つ男は性格が悪いものだが、彼のラジヲ
パーソナリティー振りと大勢の交友関係から判断するに、なかなか人望も
あるようだ。
そういう私もこの映画を見て、聡明かつ美形な(福山雅治)を見ている内に
彼の魅力に魅き込まれて行ったのです。
私は時々映画劇場には行くが、忙しくて日頃TVドラマを見る機会は少ない、
よって、テレビで人気を得た「探偵ガリレオ」を見てなかったし、
福島主演の数々のドラマや音楽番組を見たことがなかったのです。
TV「ガリレオ」の映画版がこの「容疑者Xの献身」、いやぁ~面白かった!
それはそうでしょう原作が良いですもの、どの作品も読者の期待を裏切ら
ないベストセラー作家、(東野圭吾)の直木賞受賞本の映画化ですものネ。
監督は2004年(唐沢寿明)で大ヒットさせたTV「白い巨塔」の西谷弘さん。
原作が良く、監督が良く、主役がよければ 面白くない訳が無い。
さて内容は ある朝
大田区の公園で浮浪者風の男の死体が発見された。
そして第一容疑者として別れた元妻(松雪泰子)と連れ子が浮かんできた。
しかし母子二人にはアリバイがあった。ガリレオこと湯川学(福山雅治)は
あまりにも巧妙で頭脳的にアリバイがある二人の立場に疑念をもった。
そして母子のアパートの隣に、昔の学友で天才数学者石神(堤真一)が
住んでいることを知り、この事件には彼が関係しているはずと確信した。
数学者石神ならば、完全犯罪をやってのけると思った。
天才物理学者湯川と天才数学者、天才同士の頭脳戦がはじまる、裏には裏が、
さらに、その裏を作る石神の計画は 正に究極の行為であったのだ。
しかしネ、男の深遠な理詰の計画も、女の感情世界には通じないものですネ
ヒロイン女刑事は(柴咲コウ)さんですが、どういうわけか彼女のキャラは
いつも男っぽい、イケメン男優の主演映画に相手役として、いつもひっぱり
だされる、他に女優はいないのかと思われるくらいだ。
オダキリ・ジョーと「メゾンド・ヒミコ」(2005)で
織田裕二と「県庁の星」(2006)で、妻夫木聡と「どろろ」(2007)で
そして今作「容疑者Xの献身」は福山雅治と共演であります。
彼女にも恋人がいるのだろう?が、ホント目移りしないのかネ?
この映画の主題曲は福山の作詞作曲で、柴咲コウが主題歌を歌っている
彼女もミュージシャン、ほんと才能がありますネ
投稿情報: 21:22 カテゴリー: 2008観た映画, よ | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
最近邦画結構がんばってる。
本当ですネ 邦画、とりわけ時代劇ががんばっています。
「たそがれ清兵衛」に引続き、この「壬生義士伝」もすばらしかった。
それも、かなりレベルの高い秀作と思います。
「壬生義士伝」は「その後の、たそがれ清兵衛」と言っても過言でない、
共通した内容と風味です。そこで両者比較してみました。
題名 壬生義士伝( みぶぎしでん) たそがれ清兵衛
時代 幕末1865~1868鳥羽伏見で没 1860~1868五稜郭で没
主人公 吉村貫一郎(中井貴一) 井口清平衛(真田広之)
年齢 30~34まで 30位か
藩 盛岡南部藩、脱藩し新撰組へ 庄内海坂藩(庄内藩)
20万石藩、戊辰戦争で敗退賊軍 12万石戊辰戦争で敗退賊軍
身分 足軽同心 足軽
収入 ニ駄ニ人扶持(極貧) 五十石(貧乏)
剣術 北辰一刀流免許皆伝 戸田流(小刀)
藩道場の師範代 師範代
太刀 使い込んで痩細った真剣 刀は竹光、脇差のみ真剣
学問 藩校の助教 出納お蔵役
妻 しづ(夏川結衣) 先妻死去、のち朋江(宮沢りえ)
子供 息子2 娘1 娘2 母1
風采 風采全く上がらぬ田舎もの これまた風采はさえない
ぼろ着 月代(サカヤキ)のび放題 ぼろ着 月代のびたまま
口癖 「おもさげなござんす」 「いただけるでがんしょか?」
付合い 給金は全て田舎に仕送り たそがれ時に真直ぐ帰宅
金は使わない、遊ばない 酒席に付合わない
生甲斐 家族を守ること 子供が成長していくのを見る事
家族に生活費を送ること
原作 浅田次郎(1951生) 藤沢周平(1927~1997没)
1997「鉄道員」で直木賞 1973「暗殺の年輪」で直木賞
音楽 久石 譲 冨田 勲
監督 滝田 洋二郎 山田 洋次
いや~驚いた、こうして比較すると、監督の名前が似ている事判明した。
原作者は堂々たる直木賞作家ですから、優れて面白いはずだ。
主人公は正に下級武士であり、生活は貧しい、風采上がらず、
しかし本当は優れた剣客であり、強いのだ。
家族を愛し家族のために、忍従の勤めをしているのだ。
高度成長時代、バブル時代の時代劇は英雄、将軍さま、粋な若殿が
主役だったが、今彼らは姿を消した。もはや共感を得られないのだ。
今は、従来主役に成り得なかった人物、自分の風采などかまわず、
家族のため、生活のため一心不乱に働く、冴えない下級侍が主役に
なる時代なのだ。これは正に不況・リストラ時代のお父さんの姿
そのものだ。正に、おとうさんの底力を見せる映画なのです。
「たそがれ」で感動し、日を置かず「壬生」で同じ感動を味わえた。
邦画万歳、時代劇万歳、お父さん万歳、よし!私も頑張るぞ・・・
・・・本日は長くておもさげなござんした。
投稿情報: 07:00 カテゴリー: 2003 見た映画, み | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
この映画はあながち日本と無縁ではないのです。
パレスチナ自治政府は、昨年11月カリスマ的指導者(アラファト議長)
が亡くなった。その後つい最近であるが、パレスチナ議会選挙で、
何と!あの過激派「ハマス」が勝利した。
一方イスラエル政府は強硬派であった(シャロン首相)が今年1月、
脳梗塞で危篤に陥いり事実上政治の世界から去った。
映画のはじめに、イスラエル首脳が、主役アヴナー(エリック・バナ)
に暗殺の命令を出すが、イスラエル首相(ゴルダ・メイア)女史と
ともに同席していた陸軍少将が(シャロン)である。
中東戦争を指揮してきた両指導者が舞台から去り、混迷を深める
この時に、パレスチナとイスラエルのテロと暗殺の応酬を題材にして、
あらためて両民族の歴史的紛争と根深い怨念を世に明示した、
スピルバーグ監督の「ミュンフェン」はなかなか意義ある作品と思う。
1972年9月ドイツのミュンフェンオリンピック選手村でイスラエルの
選手11名がパレスチナゲリラ「黒い9月」によって殺害された。
34年前、世界的な衝撃であったはずだが、その事件は、当時の私
(大学生だったが)妙に記憶が薄いのです。何故だろうか?
そうか当時、この事件の前、1970年3月日航ジャンボ「よど号」が
日本赤軍派によりハイジャックされ北朝鮮入国を敢行した。
当時テレビで実況中継され、日本中は大騒動であった。
1972年2月には、引き続き連合赤軍による浅間山荘事件が勃発した。
映画「突入せよ!あさま山荘事件」(2002)で再現されたが、
当時 テレビで実況中継され、テレビにクギ付けとなったものだ。
その後、凄惨な内輪のリンチ事件も続々発覚した。
そして1972年5月イスラエルのテルアビブ空港で連合赤軍の
岡本幸三ら3名が機関銃を乱射し一般市民96人を殺傷した。
いわゆる「テルアビブ空港乱射事件」である。連合赤軍が
「パレスチナ解放戦線」と連携していたゆえの行動であり、
今回の映画はあながち日本と無縁ではないのです。
当時の日本人(私)は連続テロ報道でウンザリし、マスコミも日本人
テロ事件やリンチ事件で手一杯で、同時期に発生したドイツ・ミュン
フェンのオリンピック村テロ事件まで注目していなかったと記憶する。
さてパレスチナ(アラブ)人とイスラエル(ユダヤ)人は何故
憎みあうのか?それはもう紀元前から続いており、異民族とか
異教徒との戦いというよりもはやDNAレベル(天敵)との戦い
になってしまっているのだろう。
なにゆえイスラエル(ユダヤ)人はあの狭い土地パレスチナ
(四国ほどの大きさ)に執着するのか? それは「旧約聖書」に
神からもらったと明記してあるからだ。
ユダヤの英雄(アブラハム)は神から一人息子(イサク)を生贄に
出すことを命じられた。神を畏れるアブラハムは神に従い、剣を
振り上げた時神はゆるされた。そしてパレスチナの土地と一族の
繁栄を約束されたのだ。映画「天地創造」('66)最終章を参考に・・
その後、ユダヤ人はこの地を出たり、戻ったり、征服されたり、
苦難の道を歩む、この辺は映画「十戒」('56)を観るべし。
その後「ベンハー」('59)から、「キングダム・オブヘブン」('05)
「アラビアのロレンス」('63)と他民族に支配されつづける。
果たして、1948年この地にユダヤ民族悲願のイスラエル建国
に至った。ユダヤ人2000年の放浪の旅は終わったが、かわりに
厖大なパレスチナ(アラブ)人が難民となってしまった。
爾後何度もイスラエル対アラブ諸国で中東戦争が勃発するが
イスラエルは連戦連勝の圧倒的勝利で領土を拡大し、圧倒的な
軍事力を保持するに到った。パレスチナ難民はいよいよ居住地
を失い、あるいみパレスチナゲリラは絶望的戦いをしているのだ。
このドラマはイスラエル首脳から「ミュンフェン事件」の報復で
パレスチナ要人11名の暗殺命令をうけた5人の男達が、暗殺を繰り
返す内に、しだいに自分の行為が正義なのか?戦は意義あることか
判らなくなってしまい、最後には国家というものを信用できなく
なってしまう内容だ。
この部分は、今見ている私たちは共感しやすいですけど。
現在から見た視点をスピルバーグと脚本家が無理に追筆して、
メッセージ性を入れた思われる
事実を元にしたドキュメンタリー仕立の映画で映像は
「シンドラーのリスト」('93)と「プライベートライアン」('98)
で訓練済の彩色落し で誠にリアルである。
仲間もカール(キャラハン・ハインズ)やハンスなど渋目の
リアル 俳優を配し、実録性を醸し出している。
プロの殺し屋でない自分がいとも簡単に多くの人を暗殺できた、
アヴナーは自分もまた誰かに簡単に殺されると恐怖感に苛まれる。
情報提供者は逆に情報を売るだろう、依頼人の政府も信じられない。
誰も信じられないアヴナー、恐怖におののくアヴナー、
彼の最後の 拠り所は、やはり「家族のみ」であったというのは、
やはり! スピルバーグ仕立でもありました。
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