皆さんからの多々なる投稿「硫黄島からの手紙」を拝見いたしました。
私も「硫黄島からの件」を述べたいところですが、ここはイーストウッド
2部作の第一弾「父親たちの星条旗」から感想を述べさせていただきます。
さて「父親たちの星条旗」は第二次世界大戦中の硫黄島をめぐる日米の
攻防を描いた戦争映画であります。戦争映像は大スケールであり、戦闘
シーンは凄いものでありますが、この映画、戦争活劇や攻略作戦もの
ではなかったのであります。
米軍は日本軍の象徴「摺鉢山(すりばちやま)」を占拠し、その頂上に勝利の
「国旗」を掲揚したが、この一枚の「報道写真」をめぐってのエピソードが
主題であります。国と軍はこの勝利の写真と当該兵士を利用し、米国内の
「戦意高尚と戦時国債の売上げを増やす」べく、世論喚起を図ったのです。
この「世論のため」の戦争映画といえば、ノルマンディー作戦を題材にした
スピルバーグ監督の「プライベート・ライアン」('98)も同じでありました。
歴史的なノルマンディー上陸大作戦と直接関係ない小さなエピソード
「ある2等兵1人を探しだし安全に祖国に帰還させる」を遂行する内容。
これは母一人残し出陣した4人兄弟の内、3人が戦死したため、残る一人が
戦死すれば子息全滅となり、全米で大きな批判と厭戦世論になるのを恐れ、
国家が考えた「世論のための作戦指令」であったのです。
昔の米国ハリウッド戦争映画は字通り「戦争活劇」でありました。
その代表格は「史上最大の作戦」'62 でしょう。ノルマンディー上陸作戦を
史上最多オールスター出演で、英雄たちの戦闘活躍ぶりを映画したものです。
「父親たちの星条旗」や「プライベート・ライアン」など、最近のハリウッド
戦争ものは戦争中の小さなエピソードを通して、戦争を表現します。しかし、
それが逆に身近な参戦体験と感じ、戦争の恐ろしさを実感させ、戦争の正体を
判らせる、それが自然に反戦のメッセージとなっています。
小さなエピソードといえ、映画自体は大作であり、大スケールであります。
彩色を落し(モノクロトーン)やSFXを駆使して飛び交う銃弾道を見せ、
ハンディーカメラで被弾した兵隊の肉体、内臓が飛び散るリアルな映像で
戦争の無残さを見せつけ、厭戦反戦気分を作りだしているのです。
それにしても流石PR(propaganda)(public relation)の先進国米国だナと
思いました。第2次世界大戦当時から、しっかりと「戦闘勝利よりも世論操作」
が重要と判っていたのです、戦争にも常にしっかりしたプロデューサーが
いるのでしょう。
現在の米国、今行われている戦争の厭戦気分を何とか払拭しなければ
どうにもなりません。
多分、何か、いい手(宣伝)がないかと考えているのでしょうネ。
では近々、イーストウッド 硫黄島戦 第2弾 「硫黄島からの手紙」の投稿を
お許しくださいませ。
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