原作(吉田修一)監督(李相日)コンビの映画で
作った「怒り」2016のコメントをしたからには、
やはり「悪人」2010を述べねばと変な義務感で一言
近年の殺人事件で「出会い系サイト」で知り合った
ばかりの女が男に殺される事件が良く見られる。
人間という性本能が旺盛な獣が、ITという道具を
手に入れたゆえの社会現象と言えます。
スマホや携帯にネットやアプリサービスが取り入れられ
知らない者同士が、会うはずの無い者同士が簡単
に出会うことが出来る世になってしまった。
見知らぬ人との性行為はかなり刺激的であろう、
しかし相当なリスクがある、本性が判らない人、
得体のしれない人である。人間はしょせん獣で
ありながら、何か邪悪な魂胆を持っているからだ。
福岡市と佐賀市を結ぶ国道の山深い三瀬峠で
若い女の絞殺死体が発見された、殺され、橋から
谷に投げ捨てられていたのだ。
被害者は石橋佳乃(満嶋ひかり)福岡で保険
外交員をしていた。久留米の小さな床屋夫婦
(江本明&宮崎美子)の一人娘であるが、短大
卒業後、親を説得して福岡で一人暮らしをしていた。
彼女は携帯の出会い系サイトを利用して、数人の
男と出会い、行為を楽しみ且つ小遣い稼ぎもして
いた。そんな中で出会いの相手に殺されたのだ。
犯人は長崎の土木作業員、清水祐一(妻夫木聰)
と判明した。仕事振は真面目であるが、寡黙な男で、
何を考えているか判らぬ男、中古だが白のスカイライン
でブッ飛ばすのが趣味である。
出会い系で知り合った佳乃に入れ込み過ぎた、彼女
に裏切られ罵倒され、動転して殺してしまったのだ。
指名手配された祐一は新たに出会いを求め、サイトで
知り合った馬込光代(深津絵里)と共に逃走した。
しかし逃走というより、近辺のラブホテルのはしごである、
遂に金も無くなり、冬の海の灯台に逃げ込んだ。
いやはや暗い、小説では全ての登場人物のエピソードを
紹介するが全員が暗いのだ。読んでいる内に,気が滅入
ってくる。
祐一も佳乃も光代も皆貧しく、かつ寂し過ぎる、それゆえ
愛を探し、愛を求め過ぎて、結果傷つけ合う、その結果、
ますます家族を悲しみの淵に落とした。
「本当の悪人は誰か?・・・」をコピーに売り出した映画は
一見、貧しい境遇が悪人を作ってしまう様に見えるが、全く
違いますネ。
殺人犯の祐一君が、殆ど何の考えもなく、相手の心を読む
想像力が無く、また結果に対する想像力が全くないことが
主因ですネ。
昨今、暴走運転や飲酒運転で人をひき殺す人、キレて
人を殺す人、幼い子供を殺す親などが多すぎる。
想像力が欠如した軽薄者の行動こそ「悪党」の要因と
思った。
コメント
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