ゴースト/ニューヨークの幻
この映画ぐらい何度も何度も劇場で再上映された映画がないと思う。
初公開が1990年の9月だったが、先ずこれが大ヒットになった。
特に日本でのヒットは半端ではなかったと思う。
小作品であったが予定を大幅に延長してロングランになった。
その後数年間、全国各地で再上映される度にロングランになったはず。
根強いリピーター的ファンがいるのか、口コミで新たに見る人が出て
くるのか、DVDの前の時代とはいえ、凄い事であった。
恋人を一人残して死んだ男が、女の身を心配して成仏できず、ゴースト
(幽霊)となって彼女の周りをさ迷う話。
しかし彼女には幽霊となった男の姿も見えず、声も聞こえずで、男は
悶々とするお話である。
それまでの怪奇ものは、生きている人間が幽霊を怖がったり、幽霊を
成敗する話であるが、幽霊から人間を見て、悩み苦しむ映画はこれが
初めてではなかろうか?
また幽霊でも、いろいろな制約があるのが面白い。
世に強い未練がある人は死んでも天国へ上らず、幽霊になり残ることが
ある。悪いことをした人は真黒な影が現れ、地獄へ引きずり込まれる。
幽霊は全て見聞き出来るが、人は幽霊の姿も見えず、声も聞こえない。
しかし幽霊も訓練により、人に触ったり物を動かすことが出来るように
なる。
さて何故ゆえこの映画が日本で大ヒットしたのか?
まず完全なるラブ・ストーリー映画であること、悲喜劇でもあることだ。
そして音楽と完全にマッチした映画史に残る名ラブシーンがあることだ。
眠れない夜、モリー(デミ・ムーア)がロクロを回し陶芸をしていた。
そのうち彼女の背にサム(パトリック・スウェイジ)がそっと寄り添って
きて、彼女の手に自分の手を重ねて一緒にロクロの粘土を回しはじめたのだ。
二人とも半裸の状態、接吻をしながら、ロクロを回す、彼女はもう陶酔し、
粘土はくねくねとなっていった。
音楽はライチャス・ブラザースの「アンチェインド・メロディ」
二人のラブシーンをさらに燃えさせた。元々チークダンス曲で男女密着
音楽でありますから当然です。
この粘土くねくねラブはどこか象徴的であり、多分「しながらのロクロ」
と話題になったと記憶、これが恋人同士で見たい映画としてロングヒット
になった由縁でありましょう。
監督は(ジェリー・ザッカー)もともとコメデェー映画の名人だが、
この映画でまともな映画も作れることを世に示した。
また霊媒師を好演した黒人女優(ウーピー・ゴールドバーグ)が
見事にアカデミー助演女優賞を受賞、脚本家(ブルース・J・ビーン)が
アカデミー脚本賞を受賞しました。 ウーピーさん良かったですネ!
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