私にとって、2002年1月~10月現在でBest2に入る映画は
この「ロードtoパーディション」と「スパイ・ゲーム」となりました。
そして気が付いた。上記2本の主役(級)はポール・ニューマンと
ロバート・レッドフォードである。あの「明日に向って撃て!」'69
主演コンビだ、当時ニューシネマと言われたが、30年の年月は、両雄
とも、いぶし銀となって、それぞれ親爺役を見事に演じたのだ。
さてこの「ロード・トゥー・バ‐ディション」はまぎれもなく男の映画
であり、親父と息子の宿命的関係=「対立すれど盲愛」を画いたものだ。
舞台は1930年代の中西部イリノイ州 この時代の映画好きですワ
ギャンクの幹部マイケル・サリバン(トム・ハンクス)は貧困から
拾われ、親代わりのボスを畏敬し忠節を誓い、そして心底愛していた
ギャング・ボス、ジョン・ルーニー(P・ニューマン)はサリバンを
右腕に育て上げ、心底頼りにしている。一方実の息子コナーには
後継者たるべく辛くあたる、しかし心底溺愛している。
ボスの息子コナー・ルーニーは、おそらく愛の無い環境で育った
のだろう。暴力的で屈折し、無慈悲な心を持っていた。
ワンショット、ワンショット複雑な人間関係や状況説明を雄弁に語る
この3人の関係に説明はいらなかった。ボスとサリバンのピアノ連弾
と、それを見守るコナーの笑みのシーンで我々に全てを理解させたのだ。
さらに、その笑みの中に何かを見抜いたサリバンの幼い次男には、
これからの不吉を感じた。映画は正に表現の芸術ですネ
父への敬愛と畏怖 子への慈愛・溺愛そして贖罪 兄弟の友愛と嫉妬
私にとり、これほどに感情移入した映画はなかった。全て私だ!
老父、サリバン、子供はもちろん、あの残酷人格コナーにも同調して
いた。
正に ツボを押さえたラストシーンもすばらしかった。
やっと辿り着いたパーディションで窓越しに湖を見る、キラキラ輝く
逆光のガラスごしに、うっすらと砂浜の息子が手を振っている姿。
しかしその一枚のガラスの片隅に破滅の影もうっすらと写っていた
のだ。正にこの題名そのものだった。
このラストで一緒に観た末娘が、どっと涙した、あの子供にすっかり
同調していたのだ。母も弟も奪われ、やっと辿り着いた幸せの地で、
父も奪われる。「こんなひどい映画キライ!」の一言であった。
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