「必死剣鳥刺し」「花のあと」と藤沢周平ものを続けたので、
こうなれば山田洋次監督三部作「隠し剣 鬼ノ爪」’04 も
行っちゃいましょう。
舞台は藤沢周平が故郷に造形した、お決まりの「海坂藩」
藤沢さんのおかげで山形県鶴岡市への経済波及効果は絶大です。
平成22年4月には鶴岡市立藤沢周平記念館も開設しました。
私も必ず行こうと思っています。
片桐宗蔵(永瀬正敏)は石高35石の下級武士だが、無外流・
免許皆伝の腕、道場主から秘剣「鬼の爪」を伝授されていた。
藤沢時代小説に出てくる主人公はおおむね下士で剣の達人と
相場が決っている。「たそがれ精兵衛」’02の50石で小刀の
名手と同じ境遇。
宗蔵はまだ独り身、女中のきえ(松たかこ)が賄いをしている。
きえは宗蔵の亡き母が可愛がり育てた女中、一度商家に嫁いだが、
あまりにも酷い仕打ちを受け、重い病となり、瀕死のところを、
宗蔵が商家に押しかけ強引に連れ帰ったのだ。このへんの行は
別の原作「雪明り」から引用し、映画的恋物語を発展させたもの。
さて家老(緒形拳)から宗蔵に藩命が下った、藩の牢獄を破った
狭間弥市朗(小澤柾悦)を討ち取れというものだ。同じ道場の
高弟同士で腕は互角、壮絶な戦いの末、狭間を討ち取った。
この辺は「たそがれ精兵衛」と同じエピソード。
弥市郎の妻(高島礼子)も自害した。妻は夫の命乞いのために、
家老に操をささげたが、もて遊ばれ約束を反故にされていたのだ。
宗蔵は家老を生かしておけぬと決心した。「鬼の爪」が冴える。
この辺は「武士の一分」と似ている。
どうも山田監督以来、映画では清貧でストイックな侍像を強調し
過ぎていると思います。藤沢小説の方は結構男女していて面白い
のですがネ。
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