日本航空(JAL)が9月19日に東証1部に再上場する予定。
会社更生法を申請し経営破たんしてからわずか2年8ヶ月での復帰である。
これで6000億の金を集めようというもの。
京セラの稲盛さんをトップに据え、大リストラと経費節減の賜物だが
何と言っても、借入棒引き、株式放棄、税金免除と膨大な犠牲の上で、
国家が相当便宜特典を与えたゆえの復活といえます。
LCC(格安航空会社)エア・アジア、Peach,スカイマークなどが
乱立する航空戦国時代、本当にJALが体質改善せねば生き抜けまい。
という訳で、破綻すべく破綻した、当時のJALの体質を暴き出した
名作「沈まぬ太陽」の映画化(2009)に一言、若松節朗監督作品。
山﨑豊子が1997年に発表した小説であるが、あきらかに日本航空の
実体ノンフィクションである。JALの経営体質と労使問題、そして、
あの航空史上最悪の「御巣鷹山」ジャンボ機墜落事故が大テーマだ。
この小説が発表されると同時に、大反響を呼び、忽ちミリオンセラー
になった。それと同時にと大批判・大反発も起こった。
そうだろう、当時の日航の社長<松尾氏><朝田氏><高木氏>
はじめ、明らかに実本人と判る人達が登場し善行悪行を演じており、
その真偽は判らぬが、多くの人の名誉が傷ついたことは確かだ。
時は高度成長の昭和30年代、国民航空<日本航空>の労組委員長・
恩地(渡辺謙)=<小倉氏>は会社と賃上げ闘争を繰り返していた。
会社は懲罰的人事として恩地を海外勤務へ追いやった、それも辺境
の地、イラン、パキスタン、そしてケニヤと流転の生活が続いた。
しかし同行した妻(鈴木京香)と二人子供たちの苦労は並大抵では
なかった。でもアフリカ象のハンティングシーンは圧巻ですゾ、
一方恩地の同士、労組副委員長・行天四郎(三浦友和)は出世と
引き換えに組合弱体化を計り、会社の重要な地位に昇りつつあった。
煮え切らない役をさせると天下一品の三浦友和、面目躍如の演技。
そんな時に昭和60(1986)年JAL123便ジャンボジェット機が
御巣鷹山に墜落し520名の死者という大惨事が発生した。9年間の
外地生活から帰国した恩地は献身的に犠牲者や遺族の世話にあたる。
整然と並ぶ膨大な棺桶シーンに圧倒される。泣き叫ぶ遺族の姿に
当時の悲劇が判ると共に、3・11大震災も同様なものと想像できた。
いよいよJALの大改革が始まる、利根川首相<中曽根首相>に
請われ関西紡績会長・国見(石坂浩二)=<鐘紡会長の伊藤氏>が
LAL会長に就任し、恩地を室長に抜擢して会社の再建を目差す。
しかし結果を見れば、その改革は半ばで挫折したと言える。
2010年1月20日JALは会社更生法を申請し事実上倒産した。
何故故の倒産か? 低成長時代の日本とはいえ、やはり大株主
が日本政府ゆえの大いなる無責任体質と怠慢経営が原因である。
政治家も労組も経営陣も寄って集ってこの国営的大企業を食い物に
したのだろう。この原作は主人公恩地を正義の闘士として画いているが、
やや一方的に思える、彼も食い物にした戦犯の一人かもしれない。
因みに改革を計った伊藤会長の母体であるあの名門企業鐘紡も
2004 年経営不振で解体されている。
生身の人間と異なり、刺しても血が出ない法人だからと言って、
多少タカっても大丈夫と思っているとあっというまに崩壊する!
法人企業は正に諸行無常、盛者必衰なのであります。
JALさん頑張ってネ
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