私にとって洋画は、常に何か架空の世界の出来事に思えるし、
まぁ大味な外人が演ずる事ゆえ、見方はどうしても甘くなる。
その点、邦画は身近な出来事、同じ日本人のフィーリングゆえ
見方はどうしても厳しくなりますネ。
「探してよ~僕のために♪ 探してよ~君のために♪」
「精霊ながし=しょうりょうながし」は一昔前ヒットした、
さだまさしさんの曲です。さらに同名で自伝的小説を書いていた
とは知りませんでした。
「精霊ながし」というのは亡くなった最愛の人の魂を精霊船に
乗せ、海に流す長崎の伝統行事で、さだまさしの故郷をローカル色
たっぷりに映画化(2003)したのです。
自伝的小説とあるので、自伝そのものではないのでしょうが
主役・雅彦は幼いころからバィヨリン奏者を目指していた子、
あきらかに(さだまさし)さんでしょう。
長崎といえば被爆地、そこからおこる様々な悲劇を彼の自伝と
絡ませて、物語は進みます。
日本は原水爆の唯一の被爆国、被爆の苦しみと、悲しみを最も
知っている国民です。多分この映画は、被爆をテーマにしながら、
それを「さらっと」感じさせるドラマにしたかったと推測します。
しかし、正直、私にとって心を打つシーンが誠に少ないものでした。
被爆の母には、多分いろいろ苦しみがあったろうに、内なる悲しみ
が伝わってこないのです。
またこの映画には誰一人悪い人は出てこない、皆ないい人ばかり、
皆なに感謝ばかり、これでは物語になりません。登場人物が
泣いてばかりでは、観客の方に涙は出ない状態。
多分、実際は差別なり、意地悪なり多々あったはず。歴史的英雄やら
偉人伝なら起承転結に事欠かないが、一般人の自伝ならば、やはり
意地悪や悪い人が出てこないとストーリーにならないのですヨ。
生みの母、育ての母、幼馴染で恋人、義理の兄、社長、同僚、学友
主人公との関わりを丁寧に丁寧に紹介したが、彼ら全員に気を遣い、
皆良い人にしてしまった。これは正に自伝の宿命なのでしょうか?
いわゆる、さだまさし感謝の50年史みたいになってしまった。
以前見た「なごり雪」もそうだった。
ローカル地元と完全タイアップのノスタルジック・ムービー
故郷良いとこ、そに住む人皆良い人では、少々辛いものが
ありますヨ。
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