推理小説の中に「警察小説」というジャンルがあるが(佐々木 譲)は
正にその第一人者である、とにかくどの小説も面白いのだ。
佐々木譲は北海道出身ゆえか、舞台の殆どは北海道警察の事件であり、
札幌のススキノや旭川の飲食店が実名で出てくるので特に身近に感じる。
実際の話、北海道警察は、2002年日本警察史上最大のスキャンダルである、
拳銃と覚せい剤の「稲葉事件」が発生し、その後、2006年「元原田警視長
の道警裏金問題」の告発があり大混乱となった。
佐々木譲の警察小説はその混乱の後の道警内で、キャリアとノンキャリア
の軋轢を背景として、事件が起こり、話が展開する設定である。
彼の警察小説は2003年の「ユニット」以来、「制服警察」「警官の血」
「警視庁から来た男」「警官の紋章」 本年9月新作「巡査の休日」が
あるが、今回の映画は2004年の「うたう警官」を「笑う警官」に改名して
作られた。
さてさて映画の出来は?
ふむ~! 小説と似て非なるものになってしまった。この際良し悪しを
いうのは止めよう(人によって好き嫌いもあるし、小説と映画は異世界)
であるから。
どちらかというと佐々木譲の小説は地味である、ノンキャリアの悲哀を
感じさせながら、日々の生活感を感じさせながらプロ警官がじわじわと
事件を追っかけるという風味である。
映画の方はスタイリッシュ過ぎるし、ジャズへの思い入れがたっぷり過ぎ、
展開も派手すぎるし。最後の北大医学部のイチョウ並木を女警官が一人歩く
シーンは学生映画的でもある。極めつけは主題歌が(ホイットニー・
ヒューストン)とは、まるでハリウッド映画だ。
小説のままなのは女警官・小島百合のイメージが完璧に(松雪泰子)
であったことだ。爾来本を読むと 松雪の顔が浮かんでくる始末。
最後のクレジットで監督名を見ておどろいた、な・なんと角川春樹!
製作・監督・脚本 すべて、あの角川春樹氏
そうか、この小説をここまで変えることが出来るのは彼しか居まい!
コメント
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