もう亡くなってしまったが、80才過ぎた両親でも二人で見に行けた映画、
それは「フーテンの寅」=「男はつらいよ」でありました。
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渥美清さんも亡くなり1997年の「寅次郎ハイビスカスの花特別篇」を最後
にこの映画は終わり、たぶん年寄りが安心して見にいける映画は無くなった。
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フーテンの寅が「愚兄賢妹の人情喜劇」とすれば「おとうと」は「愚弟賢姉の
家族愛もの」といえる。フーテンの寅を作った(山田洋二監督)が15年ぶりに
フーテンの寅風味の映画を作り上げたのだ。
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「おとうと」がどういう経緯でつくられたが知らぬが、「母べえ」'07 を観た限り、
母役(吉永小百合)さんが家族への無条件の愛、日本の女の優しさを淡々と演じた
こと、そして(笑福亭鶴瓶)さんが鼻つまみ者だが心根は優しい叔父役を短いカット
ながら巧く演じたことで、製作ヒントを得たのかもしれない。
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夫に先立たれたあと、高野吟子(吉永小百合)は小さな薬局を営み、女手一つで
一人娘、小春(蒼井優)を育て、姑の面倒を見ながら女三人で暮らしていた。
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その小春の結婚式に、行方知れずであった吟子の弟、鉄郎(笑福亭鶴瓶)が突然
現れ、酒に酔って結婚式を台無しにしてしまった。またやってしまったのだ、
鉄郎は子供の時から、何かと問題を起こし、その度に姉の吟子はそれをかばって
きた間柄であった。鉄郎はまたフーテンの如く姿を消した。
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家柄の違いか、鉄郎の一件のせいか小春は離婚し出戻って来て、また女三人の
生活がはじまった。「フーテンの寅」の映画の如く町内の人たち(笹野高史)や
(森本レオ)そして小春の幼馴染(加瀬亮)が何かと心配して出入りする。
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(笹野高史)の爺さん顔が出てくると、リアリテェーが出て本当の町内に思えるし、
(加瀬亮)が小春に思いを寄せる素朴な男心を巧く演じていた。いい若者だ!
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この映画のテーマは正に家族愛とご近所の人情話である、最近は「面倒はごめん」
ということであまりご近所付き合いも少ない、家族関係も個人主義になりすぎた。
昔の様な「鼻つまみ者」どころか「家庭内暴力」という陰惨な事件も起こっている。
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人間死ぬときは一人と言いながら、誰にも見取られず孤独に死ぬのは寂し過ぎる。
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しかし昨今の現状、独居老人や、ホームレス、派遣村、医療制度などを見るに、
孤独死や野たれ死は相当多いと思われる。この映画のもう一つのテーマはこの
社会的最弱者の医療と終末である。
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そんな中で、さいごまで孤独なフーテンであった鶴瓶弟の最期を看取ったのは
優しい優しい吉永姉であった。
人間にとって「最後の寄所」はやはり最小単位の家族だったのです。
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この映画を見て、どんなことがあっても私は家族の味方でいようと誓った
次第であります。
「映画の人見て我身を直せ!」 映画って本当にいいですよネ
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