映画の内容や出来の良さよりも、映画を作った事自体に大きい驚きがある映画。
それがこの映画「いつまた、君と」、副題は「何日君再来ホーリー・ジュン・ザイライ」
「何日君再来」は中国の歌であるが、日本でも「いつの日 君帰る」という曲名で、
古くは李香蘭(山口俶子)が1980年代はテレサ・テンが歌っていた。
この歌、その時々の中国の政治情勢(日中戦争、台湾問題、文化大革命、
天安門事件)で賛否両論が起こり、その度翻弄された歌でもある。
さて内容は昭和15年芦村朋子(尾野真千子)は芦村吾郎(向井理)から
プロポーズされた。彼は日中交流の仕事をしており、二人は結婚して中国南京に
移住した。朋子と吾郎は俳優・向井理の実の祖父、祖父である。
日中戦争が勃発し、敗戦により命からがら引き揚げた。裸一貫で帰国したため、
敗戦の日本で苦労の連続、しかし親子4人が励ましながら懸命に生きた
正に一家族の私小説である。
驚いたのはこの原作は小説家でもない一般人である向井理の祖母の話
彼女の日記をまとめ自費出版した単なる私小説(苦労話)である。
有名人でもないし、何か歴史に残る人でもない。とてつもない歴史的事件に
かかわった訳でもない。戦中戦後に大変苦労した人は山ほどいた、この映画
くらいの苦労人は沢山いた、そんな中の一人である。
そんなおばぁちゃん(野際陽子)の日記をワープロにまとめた若き日の
向井理(成田偉心)が時を経て、その日記を映画化したいと考えた訳だ。
そして彼がブレイクしたNHK朝ドラ「ゲゲゲの女房」脚本家(山本むつみ)
に相談して企画がはじまり、 監督に(深川栄洋)を擁して、7年越しで
映画が完成したのだ。
驚いたのは野際陽子が老境死際の演技をしたが、本当に病死直前の
最後の遺作であったのだ。TVでも「やすらぎの郷」で病人の役をして
いて、そのまま亡くなった設定だが、本当に凄い役者根性ですネ。
それから主題歌を歌っているのは高畑充希で歌の上手いこと上手いこと!
聞きほれました。 あぁ いとし君♪~いつまたかえる 何日君再来~♪
まだ耳に残っています!
しかし映画の出来については、ストーリーも映画コマ運びも凡調で商業用
映画としてはどうかネ?
まだ若く大御所でもない、単なる人気俳優である向井理くんの望みを、
みんなが協力して劇場用映画として完成してあげ、全国上映したとは!!
これ以上のババ孝行は無いであろうということで 許してあげまししょう。
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