先般、三谷幸喜の喜劇(ギャラクシー街道)をまずまず「オカシかった」と
敢えて弁護したが、「面白くはない」ことには違いない。それに比して・・
日本一の名匠監督が、「喜劇」と銘打って作ったらどうなるか?
その人こそ「山田 洋次」監督である。いや~面白い! さすが!
イヨッツ 名人! 達人! 大統領!
自分の作品、日本の国民的喜劇、(フーテンの寅)こと(渥美清)の
「男はつらいよ」から題名も拝借して、堂々と世に出した映画、
それは「家族はつらいよ」である。
あの小津安二郎の「東京物語」1953をオマージュし、山田洋二が満を期して
2013年「東京家族」2013をリメイクしたが、 その家族8名をそのままの
俳優で作ったのである。
舞台は東京郊外の一戸建て住宅、平田家はこの家に3世代が住んでいる。
2階に、リタイアして隠居生活をしている周造(橋爪 功)と妻・富子
(吉行 和子)二人とも70才後半だろう、一階に長男(西村 雅彦)
と嫁(夏川 結衣)と孫の少年二人が住んでいる。
比較的近くに長女夫婦(中島朋子)と(林家正蔵)が住んでいる。
平田家の一室に同居している次男(妻夫木 聡)も住んでいるが。
婚約者(蒼井 優)と一緒に暮らすべく家を探していた。
東京という大都会で、これだけ近くにいることは珍しい、ある日、富子の
誕生日を忘れていたが、後追いで「何かプレゼントで欲しいものはないか?」
と尋ねると、なんと離婚届けが出てきたのだ。いわゆる「熟年離婚」である。
次女の提案で、平田家に家族が集まり「家族会議」をすることにした、
周造は怒り狂い、長男は面倒は御免と言い、長男の妻は子どもの進学を
心配、次男は母の味方をし、長女の旦那は周造が浮気をしていると言う、
その内、長男も長女もそれぞれ夫婦喧嘩をはじめ、、正に騒動となった。
富子に離婚の理由を問うた?夫の不作法を「嫌で嫌でたまらない」と言う、
昔はそれが男らしく好ましいと思っていたが、今は耐えられないというのだ。
例えば、帰宅してすぐの靴下を脱ぎ捨て、お茶でうがいして飲むこと、
くちゃくちゃ音を立てる食べ方、そしてオナラなどだ。
ふむ~我々の日常で全て身に覚えのあることばかりである。
富子の言葉はまだ優しいほうかもしれない、昨今の離婚したい女性の
言葉に「夫と同じ空気を吸っていると思うと、気持ちが悪い」というのが
あるが、こうなるともう末期症状である。
山田監督は言う「一人の人間や家族をどういうアングルで見るかで
シリアスだった人や家族が突然滑稽なものに見えたりする。」
僕にとってそういうものが喜劇です
なるほど「人間は滑稽な存在」26年間で48作もの「男はつらいよ」
を作った監督の言葉と今回の映画を見て納得した次第。
脇役、飲み屋の女将かよ(風吹ジュン)と周造の旧友(小林稔侍)が
前作同様の設定でいい味を出していました。
「映画よく観てわが身を正せ!」60過ぎの男女必見の映画ですゾ
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