昭和は何年まで?と聞くと、よく昭和63年で翌年が平成元年と
答えることが多い、昭和天皇が崩御されたのは昭和64年1月7日
なので、1986=年昭和64年はたった7日間だけあったのです。
この7日間に群馬県で少女誘拐殺人事件が発生していた。
捜査ミスもあり、犯人は捕まらないまま時効は1年後に迫っていた。
警察関係者にとって執念を込め、この事件を「64」と呼んでいた。
原作は(横山秀夫)氏、彼は群馬県の上毛新聞の記者であった
経験から、報道もの警察ものが得意のミステリー作家である。何と言
ってもJALの御巣鷹山墜落をテーマにした「クラーマーズ・ハイ」や
「半落ち」が圧巻である。TVで人気の「臨場」も彼の原作である。
身代金要求の電話録音に失敗し、犯人の手がかりを失った警察
唯一、犯人の声を聞いたのは父親のみであった。一人愛娘を誘拐
され殺された両親の悲しみは想像を絶する、結果妻は心身を病み
亡くなり、家庭も店も崩壊した。(子を持つ親なら同じであろう)
この原作=映画は、事件発生から犯人発覚の事件顛末部分と
警察組織の軋轢という2つのテーマで成り立っている。
①刑事部と刑務部の戦い、②警視本庁(キャリア)と群馬県警
(ノンキャリア)との戦い、③県警の広報官と新聞記者クラブとの戦
いという、正に男社会の権力闘争を扱った誠に骨っぽい映画である。
オールスター勢揃というと一昔前は「忠臣蔵」であるが、この映画は
正に男の群像ドラマとであり、最高の主役俳優と今最も旬な若手スター
を全て集めて、それぞれが渾身の演技をした、最高の傑作と言える。
主役の①県警広報官(佐藤浩一)、妻(夏川結衣)
②広報部下(綾乃剛)(榮倉奈々)
③64捜査官(三浦友和)(赤井英和)(吉岡秀隆)(窪田正孝)
④県警刑務部(椎名桔平)(滝藤賢一)(仲村トオル)
⑤県警刑事部(奥田瑛二)(江本祐)(小澤征悦)
⑥被害者(永瀬正敏)⑦加害者(緒形直人)
⑧記者(瑛太)(坂口健太郎)
どうです今、映画やTVでの主役クラスばかりの配役ですぞ!
全体に流れるドキュメンタリー的映像と昭和を思い出す背景、今は無き
(公衆電話ボックス)や(当時のセダンの車)など迫力ある映画に
仕上げている。
しかし、やはり家族を殺された家族の悲しみと、14年間犯人を捜
し続けた親の執念こそ、この映画の主題である。
監督は昔からアダルト映画の名職人(瀬々敬久ぜぜたかひさ)氏
主題歌は和田正和の「風は止んだ」 DVDでどうぞ観て!
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