1930年生まれC・イーストウッドは89才でまだ主役を張る。
「グランド・トリノ」(2008)、人生の特等席(2013)を主演した。
「加齢を活かした」映画テーマとなるが、よく考えてみたら、
作る人も見る人も皆高齢社会なのだから、まだまだテーマは
沢山あるはず、イーストウッドさん引退する暇はありませんネ。
と言ってる内に、また老人主役のテーマを見つけてきた。
以下ネタバレあり、現在上映中ですのでご注意を!!!
2014年の「ニューヨークタイムス・マガジン」の掲載記事
「メキシコ最大の犯罪組織の運び屋は何と90才の老人だった!」
警察の目を欺いた想定外の「The Mule」伝説の運び屋の記事を、
脚本家(ニック・シェンク)が見つけイーストウッドに提案した。
老人アール・ストーン(イースト・ウッド)はユリ農園を経営し、
この業界では名が知れた人物である、仲間には羽振り良く外面
は良かったが、全く家庭を顧みず、妻に愛想尽かされ娘の結婚
式にも出ない有り様で、結果離婚され出入り禁止状態であった。
しかしネット通販に負け、時代遅れのアールのデイリリーの
農園は借金で差し押さえされ閉鎖してしまった。
仕事も家庭も失った彼の前に、一仕事が舞い込んだ。
彼は年寄りであるが、朝鮮戦争を経験した退役軍人であり、
運転はお手の物だ、又ユリの販売であちこち走っていたが、
今まで交通事故や違反歴が全くなかったことで、ある品の
運送を頼まれたのだ。しかしそれは大量の麻薬であった。
全く家庭を顧みなかったアークだが、金が入ると孫娘の結婚式
や卒業式に顔を出すようになり援助もした。また廃業した退役
軍人会や慈善事業に寄付して喜ばれた。
仕事自体は相当ヤバイ、大量の麻薬運び屋である。組織の男
たちは皆メキシコ系の強面ですぐ発砲する危険な連中だ。
戦争経験の元軍人アールにとってはギャングも青二才に見える、
アールの歯に衣着せぬ言動とマイペース振りに、組織の男たち
もボス(アンディ・ガルシア)も一目置き始めた。このくだり
こそこの映画の面白さである。
一方シカゴ警察DEA(麻薬取締局)も黙ってはいなかった。
ニューヨークから赴任してきた敏腕捜査官(ブラッドリー・
クーパー)は組織の密告者から、麻薬運送の情報を得ていた。
麻薬組織ではボスが殺され内部抗争が勃発した。その結果
アークは組織と警察と両方から追われる身となった。中西部
のハイウエーを舞台にロードムービー追跡劇が始まった。
グランド・トリノと同じ中西部シカゴ近辺のラスト地帯
は治安が悪い、メキシコから大量の麻薬が運ばれるのも事実である。
また中西部の白人は保守的である。ヒスパニック系移民や黒人
への差別も強い。今起こっているトランブ・アメリカの支持層
も多く是非が判れる地域でもある。
そんなアメリカの矛盾を織り交ぜながら物語は展開する
イーストウッドの監督としての才能=本当に無駄ないシンプル
な映画運びに何時も関心させられる。
妻をアカデミー女優(ダイアン・ウィースト)71才が演じた。
私の好きな映画「ブローウエイと銃弾」1994年の主演から
25年、やはり歳をとりましたネ。お互いですナ
コメント
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