今、国境=ボーダーと云えば米国トランプ大統領が「国境に壁を
作る」と唱える米国とメキシコの国境の事だろう。米国とメキシコの
境界全長は3141kmである。日本の全長が2845kmで
あるから、その長さは膨大であり、その間に山あり川あり砂漠あり、
そこから越境する密入国者は年間45万人にも及ぶ。
膨大な金を使って壁を作っても、侵入を防げまい、2万キロに及ぶ
万里の長城を匈奴、胡、鮮卑、契丹モンゴルが侵入したことからも
明白である。
昔からメキシコ経由で「南米の麻薬」が米国に運び込みこまれた。
犯罪組織カルテルにとって巨額なビジネスである。さらに昨今は
麻薬よりも移民の密入国の方が栽培も精製もなく手軽なビジネス
として拡大している。
私にとって米・墨国境は違法な危険地帯と知ったのは1981年の
映画「ボーダー」であった。国境保安官(ジャック・ニコルソン)が
麻薬密輸と密入国に便宜を図る同僚(ハーベイ・カイテル)と
対決するドラマであった。
さらに2000年の映画「トラフィック」はスティーブン・ソダーバーグ監督
が麻薬カルテルと麻薬捜査官の戦いをドキュメント的に描いた作品
を見て、ここのボーダーは「世界で最も危険地帯」と知った。
そして今作2015年の「ボーダー・ライン」は米・墨国境はFBIと
CIAの特殊部隊と軍隊化したカルテルとの「麻薬戦争」の実態
を知らしめした。
FBI捜査官ケイト・メイサー(エミリー・ブラント)はメキシコ国境
の町で捜査中爆弾で仲間が全滅した。無力感に襲われる中、
国防総省のチームに編入させられた。リーダーは全くの無頼マット・
グレイバー(ジョシュ・ブローリン)そしてコロンビア人アレハンドロ
(ベニチオ・デル・トロ)がいた。
カルテルは組織に背く者に対して、見せしめに残酷な殺し方をする。
メキシコ人の生死感は独特で残酷である。麻薬撲滅を唱えた女性
市長は家族ともども皆殺しにされた。
この映画でもアレハンドロは昔麻薬担当検事であったが、彼の妻は
首を切り落とされ、裸で逆さ吊された。娘は濃酸の水槽に生きた
まま落された。彼にとってカルテル撲滅は復讐であったのだ。
よってアレハンドロは非合法、暗殺、拷問なんでもあり、FBIで
あるケイトは混乱し反発するも、お構え無にカルテルを追い詰め、
遂に首領の家に侵入した。
脚本はウインド・リバーの(テイラー・シェリダン)、監督は「ブレード・
ランナー2049」の(トゥニ・ヴィルヌーヴ)音楽は(ヨハン・ヨハンソン)
いやぁ~アクション映画とはいえアメリカは我体がデカく弱肉強食の
激しい世界、犯罪も捜査も戦争である。国際関係もその手法で
ある。益々腕力で解決する傾向にある。だからその首領にトランプ
の様な人が選ばれるのだろうネ。
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