アメリカン・スナイパーを観てきました。
二つの事で驚きました。
この映画は実話の映画化であるが、ここに出てくるアメリカ人の
兵隊を見て、我々日本人と、とても同じ人間とは思えなかった。
完全武装した姿は、あまりに大きく威圧的で、鬼の様に見える
あまりに能動的、本能的であり、人間というより獣の域である。
9:11世界同時テロを起こし、大量破壊兵器で世界平和
を脅かすテロリストを成敗するという大義のため2003年
イラクに侵攻した。
世界の警察官として秩序を回復するという大義を声高に
唱えるが、その実はやはり復讐と米国の覇権である。
これが現実の国際政治、国際競争イコール覇権争ならば、
日本人はとてもこれに参加できる人種ではないと感じた。
もう一つの驚きは、監督クリント・イーストウッドの映画
つくりの旨さである。
なにしろ主たるシーンは建物の屋上からスコープで敵を探し
出し、獲物の動きを見て撃ち抜くことである、当然、街全体
を上空から撮影することになる。
この戦闘の舞台、イラン全体の街並みを見事に再現したのだ、
モロッコで撮影したとの由。
装甲車と共に移動し海軍特殊部隊の戦闘シーンや、狙った
獲物が射殺されるシーンはリアルの極みである。まるで
ニュースの実写映像を見ている様だ。
戦闘シーンと家庭、戦闘と昔の回顧シーンとストーリー展開が
早く一時も緩むことが無い、イーストウッド監督1930年生まれ
85才老いて益々冴え、映像が研ぎ澄まされている。
ハート・ロッカー(2008)の爆弾処理兵(ジェミリー・レナー)は
880個の爆弾処理で英雄になった。本映画の狙撃手カイル
(ブラッドリー・クーパー)も160人を狙撃し英雄となった。
しかし両者ともPTSD(心的外傷後ストレス障害)に
悩まされる。さらにカイルは同じPTS帰還兵に射殺される
という劇的悲劇的最期を迎えたのだ。
この映画は戦争肯定映画との批判あるが、米国の帰還兵
がPTSDに苦しんでいる事実を伝え、この映画を見た
私自身がとても今の日本人は戦争など出来ないし、する
ものでないと実感したゆえ、肯定しているとは思えなかった。
この映画ハート・ロッカーよりレベル高いと思うが、現状の
イラク、シリアがあまりに悲惨で生生し過ぎて、とても
アカデミー監督賞は無理でした。
コメント
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