日本人が一番好きな時代劇は何か?と聞かれると、それは
「忠臣蔵」でしょうネ、日本では古来、テレビ、映画、舞台、
落語、講談、そして一番古くは歌舞伎の演目であった。
になゆえ日本人に好まれるか?やはり忠義と自己犠牲、
「武士道とは死ぬこととみつけたり」という葉隠れ精神です。
また登場人物も四十七士と敵役と家族まで入れれば70人
におよぶ群像劇である。時代劇や歌舞伎にとってオールスター
が勢揃い出来るエンターテインメント性から、昔から正月映画
や新春歌舞伎公演に打ってつけの演目であった。
と言う訳で、私も小さい時から親に連れられ東映時代劇
「忠臣蔵」を多々見てきた。大石内蔵助は(片岡千恵蔵)
吉良上野介は(月形龍之介)が定番であったと記憶する。
テレビの代表作としては1964年の大河ドラマ「赤穂浪士」で
(長谷川一夫)の内蔵助と(滝沢修)の吉良が有名。
あと同じNHK大河ドラマで(堺屋太一)原作「峠の群像」の
(緒方拳)内蔵助と(伊丹十三)吉良が秀作であった。
もう正調は出尽くした!と様々なバリュエーションやスピンオフな
映画やTVが上演されてきた。そんな中で私が一番のバリュ
エーションと思った忠臣蔵がこの「47 RONIN]である。
米国ハリウッドが作る忠臣蔵ですもの、まともであるはずがない。
主役は赤穂の下人カイ(キアヌ・リーブス)、外人との混血ゆえ
山に捨てられた赤子が「天狗」に拾われ、過酷なまでに剣術
・秘術を仕込まれた。少年の時、瀕死の重傷のところを赤穂の
城主浅野内匠頭(田中泯)に救われて下人になったのだ。
その赤穂藩が断絶となった。浅野は吉良上野介(浅野忠信)
の妖術に掛かり、刃物沙汰を起こし、将軍綱吉から切腹と愛姫
ミカ(柴咲コウ)を1年の後、上野介の妻になること命じられた。
赤穂の筆頭 大石内蔵助(真田広之)はカイを含めた四十七
人の侍を集め仇討を決意した。
いやはやVFXを駆使した妖術で、怪物が出てくるわ出てくるわ、
まるで「ロードof リングス」や「里見八犬伝」の様なファンタジー・
アクションである。
とても日本の時代劇には見えない!ハデハデな色調、風変わりな
衣装と舞台装置、ここは中国か?朝鮮か?まるでイタリアン view
of Japan 「蝶々夫人」の如くだ。
見どころはカイが出島に奴隷として売られ、剣闘士として命を懸けた
激しい決闘シーンである。昔みた「ディア・ハンター」1979の(クリスト
ファー・ウォーケン)のロシアンルーレットの強烈なシーンを思い出した。
しかしこの映画どうも日本ではヒットしなかった様だ。宣伝も悪かった
と言われるが、もはや日本の若い人には「忠臣蔵」といってもピンと
来ないし、年寄りには「47RONIN」と英語タイトルで書かれたら、
とても「忠臣蔵」とは思えない、どっちつかずだった様です。
でも、私にはせっかくハリウッドが日本のサムライ武士道をテーマにして
日本人俳優を起用して作ってくれたし、逆に得たいの知れぬ異風さ
が印象深く、心に残る映画でしたゾ。
監督はCM業界出身、本作がデビューとなる新鋭カール・リンシュ。
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