海賊の映画と言えば(ジョニー・デップ)主演のジャック・スパロウ船長が登場する
「パーレーツof カリビアン」というコメディーシリーズがあるが、そんな気楽なお話でなく、
現代もアデン湾とインド洋のソマリア周辺に本当の海賊が横行しているのだ。。
という訳で「キャプテン・フィリップス」に一言。
ここは欧州から スエズ運河 紅海を経由して地中海からインド洋を往来する
航海の大動脈である。個人的なことだが、私の買った東欧の原木もここを通って
日本に輸入されているので、まことに興味深いストーリーである。
海賊は世界の流通にとって厄介な存在である。 この航路守るために世界各国が
巡視艇や戦艦をだしているが、日本も護衛艦「さみだれ」と哨戒艇を派遣している。
2009年実際にソマリア人の海賊に襲われ人質になったアメリカ人(リチャード・
フィリップス)船長の手記「キャプテンの責務」を原作にして映画化されたものです。
リチャード・フィリップ船長(トム・ハンクス)は世界最大のコンテナ会社マークス・
シーランド所属の船長である。。(キャスト・アウエイの時は宅急便会社フェディクス
でしたネ)アフリカに食糧を運んでいたが、数隻の小型ボートに追跡された。
船長の機転「救援隊が来る」とのニセ交信により海賊は逃げたが、
翌日あきらめない一隻が現れ、とうとう船に乗り込まれてしまった。
海賊映画と聞いた時、スパロウ船長の様な大型海賊船を連想していたが、
壊れそうな小型船小銃と機関銃を持った、たった4人それも元漁師たちであった。
一般家庭にも普及している銃社会の米国であるが、何と!こんな危険地帯を
航海する、こんな大型コンテナ船にガードマン一人乗船していないし、船員は
小銃一つ持っていないのが不思議に思った。簡単に乗っ取られてしまったのだ。
日頃「世界の警察官」と称している米国海軍や各国軍の遅いこと遅いこと、
国際テロリストではなく、単なる海賊のせいなのか、巡視艇もジェット機も
なかなか来ないのだ。
海賊達も言う「俺たちはアルカイダでない!只の海賊だ金が目当てだ!」
観客をハラハラさせる演出が旨い。この辺は時事ドキュメントタッチ映画の
名匠(ポール・グリーングラス)監督の面目躍如である。
この映画は人質になったベテラン船長と4人の海賊たちとのハラハラ・
ドキドキの駆け引きドラマである。
真っ黒でガリガリに痩せこけた4人の海賊(バーカッド・アブディ)がリアル
ソマリア人が如何に貧しいかが一目で判る。トム・ハンクスという善良な
キャラクターゆえか、逆にアメリカ人の方に余裕が感じられる。
ソマリアとくればリドリー・スコット監督の「ブラックホーク・ダウン」2002で
米軍が皆殺しされたシーンが思い出され、残酷で血に飢えた蛮族の
イメージが定着してしまっている。
長い内戦で、民族の大量虐殺もあり、世界の極貧・無法地帯なのだ。
海賊が一瞬口にした言葉「世界が大型漁船でソマリアの魚を盗んでいく!」
「世界が放射能廃棄物や薬物など汚染物質を投棄していく!」
「俺たちはもう漁で生活できない、生きるための海賊なのだ・・・!」
それから冒頭のコンテナ船の食堂でで船長と話す船員の言葉
[「こんな危険地帯を航海するのは間違っている!」「海賊と交戦する労働
契約になってないし、そんな給料もらってない!。」
アクション映画の裏に潜む、これらの現実こそ本当のドラマがあると
感じましたゾ
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