昔の洋画は優れた日本語の題名が付けられたものだ。
1952年日本上映の Gone with the Window に「風と共に去りぬ」
1960年のThe Apartment に「アパートの鍵貸します」
シンプルな邦題を付け、日本人の記憶に名作を残してくれたものだ。
昨今は評論家の批判を恐れてか?題名センスが無いのか?英語題を
そのままカタカナの題名にするだけ、意味も判らず記憶も残らない。
結果、辞書で調べることになり、おかげで「英単語」の勉強にはなる。
最近覚えた英単語「oblivion」意味は(完全に)忘れ去っていること。
という訳で「オブリビオン」に一言。私の好きな「滅びた地球に残された
わずかな人類もの」という映画ジャンルである。
この映画、2077年エイリアンとの核戦争の結果、地球は放射能汚染され、
生き残った人類は土星の衛星タイタンに移住しており、地球には男女二人
のみ残されていた。 彼らの任務は地球資源確保とスカヴスと呼ばれる
エイリアンの残党を排除することであった。
ジャック・ハーバー(トム・クルーズ)は優秀な宇宙飛行兵士である。
ビクトリアも女性操縦士だ。二人は万一エイリアンの捕虜になった場合の
秘密保持のため5年以前の一切の記憶を消去されている身である。
これがこの映画の題名「オブリビオン」の由縁である。二人は地球にいる
唯一の男・女ゆえ、夫婦ではないが密なるパートナーであろう?
ある日、宇宙船が墜落してきた、たった一人の生存者が目をさました途端に
ジャック!と彼の名前を叫んだ、何故知っているのか? そして彼女の顔こそ
彼が時々記憶の底からフラシュバックしてくる女(オルガ・キュリレンコ)
の顔であった。
墜落船を調べに行ったジャックと女はスカヴスに捕まる、しかしスカヴスは
エイリアンではなく人間であったのだ。首領(モーガン・フリーマン)から
地球破滅の真相を知らされる。
エイリアンとの核戦争などなかった。全ては人工知能(コンピューター)が
ジャックに植え付けた作り話である。月を破壊し、地震と大津波で人間を
殲滅させたのは人工知能であった。ジャックは生き残った人間と共に人工
知能のある「テト」に乗り込み決死の戦いを挑む。人間復活はあるのか?
この映画はS・キューブリックの名作「2001年宇宙の旅」'68のオマージュ
と思った。人工知能が人間を監視し支配する構想が同じである。そして2001が
当時、究極の宇宙映像であったが如く、この映画もかなり先進的に宇宙商品を
映像化している。原作と監督はジョセフ・コシンスキー
それにしても昨今のSFは核による「放射能で地球が滅びること」
「クローンの悲劇」が主たるテーマである。核と生命という神の領域に入って
しまった人間、果たしてこの二つを制御できるのだろうか。
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