昔からいわゆるパニック映画が大好きな私、その中でも旅客機パニックと
いうジャンルがある。私は大空港(1970)から、エアポート75、エアポート77,
エアポート80と例外なく観て来た筋金入りの旅客機パニック・ファンである。
TVの映画宣伝は「故障で急降下する旅客機を背面飛行する操縦士!」が
歌い文句あったので、「フライト」は旅客機パニックものと思い劇場に直行。
映画のプロローグでいきなり度ぎついシーン「ホテルの寝室、黒人の男女が
乱れけだるく寝入っている」そこにモーニングコールが鳴り、起こされる。
散乱する酒瓶やコカインの吸殻、素っ裸の二人、前の晩は激しく性行為が
成されたことは一目瞭然である。
部屋の中を歩く相手女性の裸体のあまりのすばらしいさに目を瞠った!
会話から判断するに男は旅客飛行機の機長(デンゼル・ワシントン)、女は
今の朝同乗する客室乗務員カテリーナ(ナディーン・ヴェラスケス)である。
それにしても映画に出てくる機長と女性乗務員は例外なく不倫関係にある。
古くは大空港1970の(バード・ランカスター)と乗務員(ジーン・セパーグ)、
、同操縦士の(ディーン・マーチン)とスチュアーデスの(ジャクリーヌ・
ビセット)、エアポート80の機長(アラン・ドロン)とスッチーはあのエマ
ニエルの(シルビア・クリステル)そして今作フライトと続くと、この職種の
男女は不倫当たり前の世界と思ってしまう。あっ!関係者の方いたらお許しを!
話を戻して、前の晩の二日酔いと性の疲労回復のために、コカインを吸って
体を覚醒させ飛行機を発進させた。空は乱気流であった、彼は軍事パイロット
出身ゆえ、腕は抜群自信たっぷり、積乱雲を抜けるため、あえて手動で操縦し
早々に雲を抜出し、後は自動操縦に切替え一眠りに入った。副操縦士はその
無謀さに驚く始末。
目的地アトランタ上空で突然異変急降下が発生した。副操縦士はパニック状態、
機長は車輪を出し、燃料を放出し、次々に手を打つも制御不能、降下は続く、
最後の手段として旅客機の上下逆さまにした。いわゆる背面飛行を強行したのだ。
そして都市を避けて郊外の原野へ胴体着陸を図った・・・・病院で目を覚ました。
結果は正に奇跡の着陸だった。102人96名が生存したのであった。当然ながら
マスコミは世紀の英雄と持て囃した。
しかし機長の血液からアルコールが検出されたるや、事故調査委員会は彼の身辺
調査を行い公聴会を予定した。飲酒操縦は重大なる犯罪行為であり、それが事故
の原因ならば、確実に終身刑となり身の破滅となる。航空会社も存続に関わる
事件となる。彼は果たして英雄か?重犯罪者か?これは劇場かDVDでどうぞ。
パニック映画の面白さは2つの要素からなる、大きな災害や事故をSFXを駆使して
リアルで迫力あるシーンを作れるか、そして登場人物の人間ドラマである。
胴体着陸までの数分のシーンは迫力満点で申し分無い出来だ。パニックシーンは
短く、この映画はパニックジャンルに入らないものだ。監督はフォレスト・ガンプ
('94)の(ロバート・ゼメキス)である。人間ドラマが主になるのは当然であり、
かなりシリアスな内容であった。
ある意味、これは訴訟ドラマである、アルコール依存症と薬物依存症による家庭
破壊の悲劇と実態を表現していた。D・ワシントンの酒癖の悪さぶりは見事ですゾ
しかし一見ドラッグ「奨励」と思えるギリギリの表現もあり驚いた次第。
どうも米国は、銃にもドラッグ薬物にも甘いと思う。
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