3月19日第266代の新ローマ法王「フランシスコ」(76)が就任した。
アルゼンチン出身で欧州以外の出身者が選ばれたのは1300年ぶりである。
法王は事実上終身職であるが、前任のベネデクト16世(85)は高齢を理由
に退位したが、何と!存命中の退位は異例で600年ぶりのことであった。
ローマ法王とは全世界にいる11億人カトリックの最高指導者である。
バチカンでのローマ法王の選挙「コンクラーベ」の実態と法王が如何に重責で
プレッシャーが大きいかを画いた「ローマ法王の休日」(2012公開)に一言。
コンクラーベは中々興味深い、世界中から集結した120人の枢機卿から選ばれる、
ミケランジェロの「最後の審判」で有名なシスティーナ礼拝堂内に鍵を掛けて
枢機卿達を閉じ込め、2/3以上の選挙得票で決めるのだ。これに達しなければ
何度も何度も話し合い、何度も選挙を繰り返す。正に「根くらべ」である。
外で待つ一般大衆は煙突の煙の色で結果を知る事になる、選挙の度に決らねば
黒い煙、決れば白い煙が放出される。誠に面白い方法ですネ。この辺の実態は
本映画やダ・ヴィチコードの続編「天使と悪魔」(2009)で詳細に表されている。
さて枢機卿たちは誰もがその重責に尻込みしていた、中々決らず時間が過ぎた。
結果は意外であった、全く無名の枢機卿メルヴィル(ミシェル・ピッコリ)が
選ばれてしまったのだ。
彼は泣き叫びパニクリ、大衆の前で挨拶することが出来ない状態、医者に診て
もらうが埒があかない、報道官がセラピストに行くためヴァチカンの外に連れ
出したが、何と!新法王は隙を見て逃亡したのだ。ここから法王一人で市内を
あちこちさ迷い人々に巡り合った。正に名作「ローマの休日」のオマージュだ。
まぁアメリカ映画ならば、下界のさまざまなエピソードに触れて、考え新たに、
新法王就任式でハッピーエンドになるだろうが、ここは欧州映画の真骨頂、
ヴァチカンのお膝元イタリアン・リアリズム映画。なんともシリアスに「辞退」
で終わったのだ。この事態の後始末を想像すると恐ろしくなりますヨ。
現実の方は無事「フランシスコ」が就任され、「全世界の弱いものを守る」と
挨拶された。めでたしめでたし・・・。
監督は(ナンニ・モレッティ)、新法王は(ミシェル・ピッコリ)が演じた、彼は
私が少年の時こっそり見たコダールの「軽蔑」(1963)で(ブリジット・バルドー)
のラブシーンの相手役、この映画は私にとって生涯最高エロチック映画なのです。
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