フランスの文豪にして政治家(ビクトル・ユーゴー)が17年の歳月を掛けて
1862年に「レ・ミゼラブル」完成した。フランス文学屈指の大河小説として、
世界的に大反響を起こしました。
日本でも黒岩涙香(るいか)が1902年に翻訳して発表、「ああ無常」!と
いう優れた題名を付け、日本人に最も好まれる外国文学となったのです。
爾来世界中で芝居や映画、TVとして作品化されてきたが、やはり極め付は
ロンドンで1985から開演されたミュージカルでしょう。この舞台は現在に
至るまで世界各国でロングラン上演され、演劇史に残る金字塔を建てました。
このミュージカルは英国人プロデューサー(キャメロン・マキントッシュ)と
フランス人作詞・脚本家の(アラン・ブーブリル)と同じくフランス作曲家の
(クロード・M・シェーンベルク)のチームにより創作されたものであります。
そして今般この舞台チームを製作者とし、「英国王のスピーチ」でアカデミー
監督賞を受賞した(トム・フーパー)を監督に擁して、堂々たるミュージカル
映画を創り上げたのです。
映画が持つ致命的な欠陥は、演技時は役者の口パクで、歌はアフレコ(後入れ)で
あること、この時間差により感情の高まりが削がれてしまう、その解決として
T・フーパーは役者本人に生で歌わせた。これは至難の業であったと推察します。
メーキングを見ると、演技をしつつ役者の台詞は全て歌、耳にイヤホンを埋め、
ピアノ伴奏を聞きながら歌う、その生歌のみ録音し、後日歌唱に合わせてオーケ
ストラの伴奏を付ける方法である。
役者はロングショットとワンテイクで一日中歌い続けねばならなかったのだ。
となると、演技も歌も上手い役者、顔も声も良い役者、しかも主役級を揃えねば
ならない。いやぁ~ いたんですワ
ジャン・バルジャンに(ヒュー・ジャックマン)、ファンテーヌに(アン・ハサ
ウェイ)、コゼットに(アマンダ・セイフライド)、マリウスに(エディー・
レッドメイン)そして敵役ジャベールに(ラッセル・クロウ)と来た。
正直(ヒュー・ジャックマン)には驚いた。あのX-Menの狼男がこんな歌の
才能を持っていたとは知らなかった。19年間の投獄の過酷さのために7kgの
減量した由。
(アン・ハサウェイ)は母子2代のミュージカル・スターで本物、貧困のため売る
髪をバッサリ切り落とすシーンがある、凄い根性を見せた。
そして(ラッセル・クロウ)は歌は初挑戦ながらかすれた声で健闘しましたネ。
それにしてもパリの貧困街に住む市民の汚いこと汚いこと当時のどん底生活が
見事に表現されており、正直心が痛くなった次第。
才能ある芸術家、音楽家、美術家、そして実力ある役者が総結集して作り上げた
ミュージカル 「レ・ミゼラブル」に心より万歳を贈ります。
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