映画は「悪役がすばらしいと主役が引き立つ」というが
正にこの映画シャーロックホームズⅡ シャドーゲームはその典型と言える。
シャーロック・ホームズⅠ(2009)は個性派俳優(ロバート・ダウニーJr)が
従来のSホームズのイメージを払拭して文武両道、007ばりの闘うホームズ像を
作り上げて、世界的大ヒットを成し遂げた。
その続編となると、パワーアップせねば観客は満足しまい。このパワーアップを
成し遂げたのは、悪役の演技力であった。シャーロック・ホームズの最大の宿敵
「ジェームス・モリアーティ教授」を演じたのは(ジャレッド・ハリス)である。
彼はアイルランド人を代表する名優・故(リチャード・ハリス)の息子である。
リチャードは欧州とハリウッドを股に掛け、重厚な脇役として活躍(天地創造
'66、カサンドラクロス'76、パトリオット・ゲーム'92そしてハリーポッターの
ダンブルドア校長 2001)が遺作となった。
彼が登場すると映画にリアリティーが出るので、私は昔からフアンであった。
血は争えぬ、父リチャードと同様に、ジャレッド・ハリスも地味だが演技派で
存在感のある役者になった。
彼が演じる「モリアーティ教授」は天才数学者であり作家であり音楽家である、
さらに大学時代はボクシングチャンピオンになった正に文武両道のエリートで、
社会的人脈も多く世間の尊敬を受けている人物。
しかしてその実体は、裏社会のナポレオンと呼ばれる冷血非道な人物、
己の欲望を満たすため世界を戦争に陥れ様としていた。おりしも19世紀末、
世界各国覇権を争いキナ臭い紛争が勃発していた。
S・ホームズが世界で起こる様々な事件を分析する内、何と!ある一点に
到達することに気が付いた。全てはモリアーティー教授に結び付くのだ。
ホームズは教授に接触を図った・・・映画はここから「ライヘンバッハの滝」
まで息も付かせぬハイスピードで駆け抜ける。
いやぁ~面白い! 産業革命後の雑然不潔なロンドンの世情や、覇権を争う
欧州諸国の状況などを見事に再現、SFXやCGを多用したとはいえ、衣装や
小道具まで時代考証忠実に揃えており、相当金も掛けた映画であろうと推察。
監督は(ガイ・リッチー)、ワトソン医師は(ジュード・ロウ)と同じ顔ぶれ
兄マイクロフト・ホームズに(スティーブン・フライ)を擁している
しかし良く考えてみると、史実として1914年から第一次世界大戦が勃発した。
とすれば 勝利者はモリアティー教授の方であったのかもしれない・
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