私の好きだったコメディアン(ジョン・ベルシー)も(ジョン・キャンディー)も
鬼籍に入り、(スティーブ・マーティン)や(ダン・エイクロイド)は昨今、
脇に回り、いよいよ自分の名前を冠にしてコメディーの主役を勤めているのは
米国(ベン・スティラー)と英国(ローワン・アトキンソン)くらいだろうか。
でも(ベン・スティラー)主役の「ミート・ザ・ペアレント」シリーズは
脇に大物役者の(ロバート・デニーロ)を配し、新作「ペントハウス」2012
でも大物(エディ・マーフィ)との共演であり、まだまだベンが一人看板で主役
を勤めるには少々力不足かもしれない。
その点この新作
「ローワン・アトキンソンのジョニー・イングリシュ 気休めの報酬」で
堂々と一人看板で客が呼べるコメディアンこそR・アトキンソンである。
これが彼が「現役世界最高峰の喜劇役者」といわれる所以である。
大ヒットした第一作2003年から8年後の続編だが「007シリーズ」をパロディー
したコメディーで、題名も(ダニエル・クレイグ)の007「慰めの報酬」'09
を見事パロデったものだ。
007は世界で最も有名で最も長く今もヒットを続ける映画で、誰にも説明が
いらず、観客は元ネタと比較して笑いを取ることが出来る。それは英国の007
を英国を代表するコメディアンR・アトキンス故 許され成り立つ事だと思う。
第一作で世界の危機を救ったMI7の諜報員J・イングリッシュであったが、
モザンビークで大失態をやらかして、失意で身を隠しチベットの僧院で修行
していたのだ。自分の「たまたま」を鉄のように鍛えるシーンは大笑いである。
そこへMI7から呼び出しが掛かった。指令は英国を訪問する中国首相の暗殺
計画を阻止することである。いよいよ「天災的スパイ」のカムバックであった。
自分を有能な諜報員と思い込み、自信たっぷりに行動するが、無器用極まり無く
へまをするのだが、時々うまく行くこともあり、見ている観客は有能か無能か
訳が判らなくなることが面白いのだ。
「007カジノ・ロワイヤル」'06で工事現場でボンドが悪党を追いかけ、激しく
格闘するシーンがあったが、イングリッシュは、クレーンやエレベーターを使って、
肉体を労さず頭を使い犯人を捕まえた。正にチベットの年寄りの知恵を実践した。
007の面白さはスパイグッズ(秘密兵器)であるが、彼は常に使い方を間違えて
逆に危機になるのが面白い。
スパイものに付き物のカー・アクションもあるが、ここでは何と車椅子である
自ら操作して見事に走ったが、カー・チェイスの場所はバッキンガム宮殿前の
有名な「ザ・マル通り」である、よくロンドン警察が撮影許可したものだ。
007のパロディー満載、今回イングリッシュ・ガールを演じたのは「007
ダイ・アナザーデイ」'02でボンドガールを務めた美人の(ロザムンド・バイク)
ですもの徹底してますゾ。
さて圧巻は殺し屋の老婆と間違えて、英国エリザベス女王様まで、押さえ込んで
ぼこぼこにするシーンだ、間違いなく英国民が大笑いしたと推察します。
日本の皇室では到底考えられぬこと、英国は笑いの奥が深いです。
震災、欧米経済の危機と重苦しいことばかりの昨今、こんな時は元気が出る
コメディーが一番ですワ。
コメント
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