「天は二物を与えず」ということか?それとも
「神の領域に入る者を許さず」ということか
映画「博士と彼女のセオリー」のスティーブン・ホーキング博士
の姿を見ているとそう思ってしまう。
博士はニュートンやアインシュタインと並ぶ天才学者である。
物理学から宇宙の起源の解明を図り、「量子宇宙論」を
形成した。結果、神の存在!まで論じるに至った。
世界の科学者はもちろんだが、著書「ホーキング、宇宙を語る」
を読んだ一般人も宇宙の片鱗を知り、尊敬の念を持つのだ。
そんな彼が難病中の難病ALS(筋委縮性側索硬化症)
を(21才)で発症し、2年の余命宣告を受けたのだ。
ALSは筋肉が委縮し、筋力が低下し、特に呼吸筋マヒに
より死に至る病気である。
しかし何と!73才の現在も病気と闘いながら活躍して
いることに驚く。
この映画は博士の偉大な研究と偉業を紹介すると共に、
彼の人生・私生活、そして何よりも、彼の人格を紹介して
くれる、誠に興味深い伝記なのだが、
何と!さすが映画!ラブ・ストーリーに仕上がっているのだ。
S・ホーキングが英国ケンブリッジ大学院生の時にALS
が発病し、将来の有望学者は奈落の底に落ちた。
その時、彼を励まし続けたのは、同大学で中世スペイン詩を
学んでいた女学生(ジエーン・ワイルド)であった。
二人は結婚し、力を合わせて難病に立ち向かったのだ。
なにゆえこんな厄介な難病の男と結婚したのだろうか?
愛ばかりでないだろう、彼の優れた知能に対する憧れであろう。
彼はその後次々と新理論を発見し、世界的な科学者となる。
しかし彼の筋力はどんどん衰え、車いすに頼り、声も失った。
意思は視線をセンサーで感知して、コンピューターで音声化
して伝える特殊装置付車椅子で生活しているのだ。
しかし不思議なことに3人の子供を設けた。友がどうやって?
と聞くと、あそこは不随意筋(意思の力に関係ない筋肉)
だからと答え大笑いする。なるほど意思のままになりませんもネ
体を動かすことが出来ない天才ゆえ、実生活での世話は
過酷である、紆余曲折の結果、26年後二人は離婚した。
しかし現在は3人の子供と共に親しく付合っていると聞く。
ホーキング役を(エディ・レッドメイン)が好演した。発病から
現在まで演じ、本当のホーキングに見えた。そして見事!
アカデミー主演男優賞を受賞。彼自身ケンブリッジ大学出身
の生粋の英国人ゆえ、この天才を演じることが出来たと思う。
妻ジェーン役は(フェリシティー・ジョーンズ)、愛らしい女学生
から妻・母、介護に疲れ果て、ある決意をする女性を好演
気品ある英国女性を見事に演じた。これも彼女自身、実際
オックスフード大出身の才媛ゆえの事であろう。
この映画自体彼女(ジェーン・ホーキング)の書いた自伝
『Travelling to Infinity: My Life with Stephen』をベースに
している。 監督はジェームス・マーシュ
ホーキング博士の名言
「人生は、できることに集中するこであり、できないことを
悔やむことではない」 彼が言うゆえ、正に蓋し!
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