完璧な映画というのは、この様なものを言うのでしょう
どんな映画でも辻褄の合わぬ事や、中ダレがあり、特に無理やり手仕舞いに
もって行くラストが多い中で、最後まで納得いく筋運びでした。そして
トム・ハンクスは事実上の一人芝居を見事に演じました。
日本映画では実名は考えられないが、実在の特急便会社Fedexが墜落事故に遭遇した。
しかし、これで誰よりも早く、確実にお届けする会社イメージは固まった。
また単なるスポーツ用品のバレーボールをあれほど親しく扱った映画は
あるまい。多分、これで世界中のバレーボールはウィルスンに決まりだ。
島の生活に音楽は無い、聞こえるのは波と風の音だけ
現実感が高まり、孤独感と恐怖感を募り、私も常に緊張状態で疲れてしまった。
無人島で生き行くすべを、傷だらけで身に付けて行く、しかし彼は絶望の
叫びをあげる。そして一挙に「それから4年後」・・この演出は誠に旨い!
文明の贅肉を25kg落とし、見事な野生児に変身した彼を見た瞬間
我々はその間の、彼の想像を絶する苦労を自分の頭の中で映像化し得たのだ。
島で1500日が過ぎ、死を覚悟して海へ出る、結果、彼は奇跡的に救出された。
古典的ハリウッドなら、これで目出たしのエンドだが、現実はそんな柔ではない
4年の歳月は長く、当然、彼の恋人(ヘレン・ハント)は家庭を持ち別の人生を
歩んでいたのだ。
ココからがこの映画の真骨頂だ、
空港で、再会をためらう彼女の姿を黙って見送った。日本映画ならこれで終わるが
4年耐え得たのは彼女への強い思慕であり、ここで終われば嘘映画となろう。
あきらめきれず、彼女の家に押掛け、話合う、二人の愛は変わっていなかったのだ
しかし別の人生を歩むべきと決心する。普通はここで終わるが、更に続くのが凄い
その夜中、絶望的な気持を親友に打ち明け男泣きする。ここでも終わらない
そして最後のシーン、田舎道の交差点、美人に道を尋ねる、
その後どちらへ行くべきか考える、あのシーン、新しい人生を予測させる
見事なハッピーエンドシーンを創り出した。これですっきりした気分になった。
終わり良ければ全て良しですネ。
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