49歳で電車の運転手になった男の物語「RAILWAYS]
とのコピーに釣られて劇場へ行った。
たんなる「鉄道マニアが昂じて」の話と思って観にいったら
全く異なり、正に現代の社会問題の縮図の様な映画でした。
一流企業に勤めるエリートサラリーマン筒井肇(中井喜一)は
重役一歩手前で会社を辞め、子どもの時の夢、地元ローカル線
「一畑電車の運転手」になった。正に子どもの時の夢の実現!
と思ったら大間違いで、この決断には種々事情があったのだ。
正に日本が抱える問題「リストラ」「少子高齢化」「親の介護」
「過疎」「地方の衰退」「若者の就職難」の縮図の映画である。
まず日本企業の空洞化がある、企業は慈善事業ではない!
利益の出ない工場は閉鎖し多くの従業員のリストラを実行した。
この指揮をとった筒井ではあったが、同期で親友の工場長の死
でショックを受け、出世と仕事中心の自分に疑問が生まれた。
妻(高島礼子)は専業主婦を卒業し、長年の夢である「ハープ・
ショップ経営」をはじめた。それが軌道に乗りつつあり忙しく
夫婦すれ違いが発生していた。
一人娘は大学卒業を迎え就職活動中、父からも就活をやれと
せかされ反発していた。
筒井は一人息だった。年老いた母が出雲の田舎で一人で
暮らしている。医師から母はガンで余命1年と幾ばくもない
と知らされる。近くに母の面倒を見る身内はいなかった。
自分がここまで来れたのは母が行商で育ててくれたから、
彼は母の介護と最後の一時を過ごすために会社を辞めた。
田舎の親の面倒を見るために仕事を辞めたり、出世を諦め
地方勤務を願え出る話はよく聞く。しかし大半の人は親を
地方の医療施設に入れたままにするしかないのが現実である。
母はガンを知らされていない、介護のため会社を辞めたと
なれば大反対するのは決っている。彼は子どもの時の夢の
実現「バダデンの運転手になる」との口実でそれを実行した。
映画の方は自分の夢の実現を強調していますが・・
しかし、これで彼自身も吹っ切れた。自分の本質に戻り、
母にも妻にも娘にも、そして乗客や会社の同僚にも優しく
接することが出来、回りから尊敬を集める存在となったのだ。
製作は鉄道マニアでもある「ALWAYS三丁目の夕日」の阿部秀司、
監督は錦織良成の島根(松江・出雲)3部作で映画が地方振興
に貢献している良い例である。
正にハートウォーミングドラマDVDでどうぞ。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。