す・す・凄い映画だ。私にとって2014年上半期、最高の映画となったのは
「ノ ア」約束の船、つまり旧約聖書の最大のエピソード「ノアの箱舟」である。
「旧約聖書」は紀元前10世紀から紀元前1世紀の間に書かれた
ユダヤ教とキリスト教両方の聖典である。
新約聖書(紀元一世紀)がイエス・キリストとその教えを細々書いているに
対して、旧約聖書は神が宇宙をつくり、人間を作り、神がヒトの愚かさに
あきれ果てることが 多々書いており、ダイナミックで誠に面白い。
阿刀田高の「旧約聖書を知っていますか」(1991)も読むと面白いですゾ。
仏教徒の私には到底理解できぬものの、ドラマチックな旧約聖書が好きで
高校生の時見た映画「天地創造」(1966)にすっかりハマってしまった。
この映画音楽は日本人作曲家、黛敏郎が受け持ったことも嬉しかった。
天地創造の「ノアの箱舟」では、この映画の監督(ジョン・ヒューストン)が
自らノアを演じ、敬謙な神の下部として働く。あらゆる動物の「つがい」が
ぞくぞくと船に乗り込む特撮シーンに驚いたものです。
さて鬼才、異才(ダーレン・アロノフスキー)が聖書「ノアの箱舟」を
どう創るのか?興味深々で劇場に足を運んだ次第です。
聖書によると舟の大きさは高さ13m幅22m長さ133mと記してある、
これをCG(コンピューター・グラフィック)ではなく、長さ54mにして
木材で実物を作り上げたのだ。これでシーンは超リアルになった。
あと膨大な数の動物や鳥が集結するシーン、そして暗雲の中で
大雨で水が地を呑みこむシーンは現代のCG技術の粋をつくし
大迫力の極みであった。見ものですゾ
しかし映画の見所は上の洪水ではなかった、人間ドラマの方であった。
しかも神話的叙事詩でなく、出来る限りリアルな内容とした。
1)なにゆえノアが選ばられたのか?
2)短期間でどうやってこの巨大な箱舟を作ることができたのか?
3)他の人間たちはだまって見ていたのか?
4)漂流の長期間、どうやって動物たちを養ったのか?
5)ノアはなにゆえ酒浸りになったのか?
6)ノアの家族はその後どうやって人類繁殖していったのか?
ダーレン・アロノフスキー監督はこれを聖書のみから推理し、
「カインの末裔」「アブラハムの生贄」などのエピソードから引用して
誠になるほどと思う脚本に仕上げたのた。
そしてそれを心臓が高鳴なり息も付けぬシーンの連続であった。
善人から狂気に変貌するノアを演じたのは(ラッセル・クロウ)、
その妻ナーマに(ジェニファー・コネリー)、そしてノアの養女イラに
(エマ・ワトソン)だが「ハリーポッター」のハーマイオニーをすっかり
脱皮して演技派である。凄い成長に驚きましたゾ
人類の悪の系譜カインの末裔であるトバル・カイン(レイ・
ウインストン)が信じられるのは神よりも人間だ!と強く主張して
いたが、これこそ現代の多くの人間言い分でしょうネ。
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