映画というより、討論・対話集といった方が良い映画
なにしろ 出演俳優が 6名のみといってもよい
米国上院議員(トム・クルーズ)とジャーナリスト
(メリル・ストリープ)の対話。
大学教授(ロバート・レッドフォード)とノンポリ学生
(アンドリュー・ガーフィールド)の対話。
そして学生から米軍に志願し、陸軍兵士となった(マイケル
・ベーニア)と同(デレク・ルーク)の意見と戦闘シーン。
これだけで、かつ92分の映像で、アメリカ合衆国という
国家が抱える問題と矛盾を見事に画きました。
題名の印象から よくある米国政府の良からぬ陰謀に
巻き込まれた一般市民の「アクションもの」と誤解され
そうですが、全く異なります、正統社会派ドラマでした。
あの(マイケル・ムーア)監督の「華氏911」'04 の如く、
ど派手センセーショナルにブッシュ政権を批判するのでなく、
対話を通して米国の現実を知らしめ、問題点を浮き上がらせて行く。
この手法がむしろ恐く、私達に考えさせます。さすが
(ロバート・レッドフォード)製作・監督・主演映画。
上院議員(T・クルーズ)がこれから実行する新戦略作戦の正当性
を述べ、報道協力を示唆する。しかし彼が主張するほど、現政権
が失政を繰り返し、追い詰められていることを白状していた。
ジャーナリスト(M・ストリープ)と上院議員の取材シーンは
なかなかスリリングであります。
彼女は上院議員の独占取材によりスクープをものに出来たが、
政権の独走に疑念と反感を持った。
しかし今やマスコミ=報道機関も商業資本の傘下に入っていた。
大学教授(R・レッドフォード)はあまりにも社会に対して
無関心な学生が多いことに失望していた。
今、落第寸前の金持ノンポリ学生(A・ガーフィールド)と面接し、
社会を見つめ、問題意識を持て、傍観するなと教え説いた。
しかしノンポリ学生は国家など信用できないと主張する。
この教授の優秀な教え子のうち、2人が米陸軍に志願していた。
国家に貢献したいという意思と、黒人とメキシコ移民という
立場から除隊後の特待生を目指したものであった。
まぁベトナム戦争以来 アフガン イラクと 志願兵は黒人と
マイノリティーが多いことは事実です。
彼ら二人は新戦略作戦の兵士としてアフガニスタンに向っていた。
ラストシーン、ジャーナリストの帰宅道すがら、タクシーの窓から
アーリントン墓地の延々と無数の戦没者の墓が移動していく。
まさにこれこそ原題「 Lions for Lambs 」の象徴シーンでした。
原題の意味は 映画を見てくださいませ。
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