2008年見た新作ばかりでは早々ネタ切れになりますので、
2007年観た映画の紹介もさせてくださいませ。
英王室内情を、良くぞここまで映像化出来たものだ!
早く観なければ早々に劇場上映が終わってしまいそうな映画
どうどうのアカデミー主演女優賞受賞 「ザ・クイーン」に一言
まず驚きは 名女優ヘレン・ミレンが外見も内面も見事に、英国女王
エリザベス2世になりきってしまったことだ。
今の映画メイキャップ技術なら、実物にかなり似せることはできる。
しかしこの映画はエリザベス女王の心の葛藤が内容ゆえ、似てれば
良いというものでは全くない。
H・ミレンの場合、元々女王的な気品と貫禄を兼ね備えており、
長年積み重ねた演技力とあいまって、見事な女王を演じたのだ。
この映画は英国エリザベス女王の伝記ではない、あの絶大な人気の
世界的のヒロイン、ダイアナ元皇太子妃が交通事故で死亡してから
葬儀までの七日間のエリザベス女王を表現したのである。
ダイアナは英国のロイヤルファミリーにとって常に頭痛の種であったと
この映画でよく判った。女王の夫エディンバラ公(ジェイムズ・クロム
ウェル)がダイアナのことを話す口調は辛らつであったし、国民に人気の
皇太后までもが、ダイアナの話題は必ず苦い顔をしていた。
そうだろう王子との離婚前後のスキャンダル的エピソードは1000年も
続いた王家の権威を損なうことばかりだった。
そしてダイアナの死は、エリザベスが女王として50年、守り続けた
王政を揺るがしかねないことであったのだ。
ダイアナは全て実写の記録フィルムである、それとH・ミレン演ずる
女王との迫真の対決映画と言っても過言ではない。
英国人は王家を好きである、尊敬もしている、しかし国民の総意の上で
成り立つ存在として批判もする。つまりダイアナの死に対する女王と
王家の態度を冷たい、間違っていると糾弾したのだ。
新首相ブレアの妻(ヘレン・マックロリー)これまた似てるんですワ!
は革新的弁護士出身ゆえかの堂々と共和制にすべきとのたまう始末。
それにしてもロイヤルファミリーの尊大さ、いつもながらチャールズ
皇太子を小ばかにする風潮、ブレア首相政権との対立駆け引きなど
王室内情を、良くぞここまで映像化出来たものだ!
とてもとても日本の皇室に対しこんな扱いをしたら、とんでもないこと
になるだろう。
それから身内の葬儀の時に、家族総出で鹿狩りをするなど、日本人には
絶対あり得ないセンス、やはり狩猟民族アングロサクソンの王ならでは
の行為と理解した。
そして7日後、最後にエリザベス女王がTVで国民むかい、ダイアナの
身内として弔辞を述べた。そのお言葉に、今まで批判的であった国民は
涙し、一斉に女王に平伏したのだ。
正に、これこそ1000年に及ぶ権威というものなのだろう。
P.S アカデミー主演女優賞を受賞したヘレン・ミレンを慰労すべく
エリザベス女王が個人的に夕食に招待したところ、スケジュールが
付かぬと丁重に断られたらしい。
これまた日本人ではあり得ぬこと、欧州人は自己自立してるワネ。
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