PTSDという単語を聞くが、これは「Post Traumatic Stress Disorder」の略で
日本語では「心的外傷後ストレス障害」のことです。これは命の安全が脅か
される出来事や強烈なショックを経験すると、これが非常に深い傷(トラウマ)
となって、時間がたっても同じような恐怖や,心身に様々な症状を引き起こす。
小学校5年生の恐ろしい体験と非難の言葉が後の人生を左右してしまった。
静かな田舎町の校庭、夏休み中の夕方、小5の五人の女の子がバレー
ボールで遊んでいた。そこに作業服の男が現れ、学校の換気扇の修理を
手伝ってと頼まれ、エミリちゃんが校内に付いていった。中々戻って来ないので
4人は様子を見に行った。そこで見たものは凌辱され、床に叩き付けられ、
無残に殺されたエミリちゃんの死体であった。
ショックのためか四人は男の顔を覚えていない、エミリの母麻子(小泉今日子)
は四人を呼出し、顔を思い出せないことを激しく非難した揚句、「あなた達こそ
人殺し、あなた達を許さない!犯人を見つけなさい、できないなら私を納得
させる償いをしなさい」と糾弾した。四人の子供にとっては大変なショックであろう、
恐怖の事件と麻子の強烈な言葉に大きく傷ついたのは当然である。
15年経った、しかしあの事件とエミリの母の激しい言葉をトラウマとなって
四人は成長したのだ。その結果は・・・・・・・
この映画は2012年WOWOWで連続ドラマかされたものだ。小説と同じく
四人と母をそれぞれの章で分け、黒澤清氏が脚本・監督したものだ。
第1話 フランス人形
事件の目撃者 紗英(蒼井優)は男を恐れ、大人になることを止めた女に
なっていた。乞われ結婚したが人形フェチの新郎(森山未来)を罵倒した。
第2話 PTA臨時総会
小学校教師となった真紀(小池栄子)は学校に乱入した男を撃退し、
生徒を守るためとはいえ、プールに叩き落とした。
第3話 くまの兄弟
晶子(安藤サクラ)は事件の後、引き籠り生活をしていたが、仲の良い
兄(加瀬亮)が、妻と連れ子と共に実感に戻ってきた。しかし連れ子に
対する不可解な行為を許せず兄の首を絞めた。
第4話 とつきとおか
花屋を初めた由佳(池脇千鶴)は警察官である姉の夫を誘惑し、妊娠
してしまう。あの事件時の警察官への憧れが昂じて義兄を階段から突き
落としたのだ。
第5話 償い
15年前、変質者の犯行と思われたが、何と麻子の学生時代の男で
あった。彼(香川照之)を誘惑し、彼の恋人を自殺に追いやり、揚句
彼を捨てた。全ては麻子の気まぐれな嫉妬の成せる業であったのだ。
香川は日本一の狂気役者である。
まるで橋田寿賀子の「渡る世間は鬼ばかり」の如く、ヒトというものは醜い
ものだ。登場人物全て嫌な面を持っている。いじめ、嫌がらせ、裏切り、
足の引っ張り合い、これでもかと画くイヤミス(後味が嫌なミステリー)の
女王、湊かなえの真骨頂である。
「他人の不幸こそ面白い」故のベストセラー作家であろう。
世の全ての災いは自分の蒔いた種、因果応報であります、
お互い気を付けましょう。
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