日本が世界に誇る映画キャラクターは「ゴジラ」である。しかし東宝は
2004年ゴジラ「FINAL WAR 」をもって制作を終了してしまった。
何故か?興行収入が芳しくないからであり、それと自信喪失であろう。
遡ること6年前、ゴジラの版権を米国に売ってハリウッドで作られたのが
1998年の「GODZILLA」であった。監督はパニック映画の巨匠
ローランド・エメリットであった。1億3000万ドルの金を掛け、高度な
VFXやCGで超ど級な映画を作り上げた。
日本版は収入が上がらぬばかでなく、米国が作れば、そのスケールとCG・
VFX技術には到底勝てぬと悟り、2004年をもって「ゴジラ」制作を
止めてしまったのだ。
その後、ハリウッドは2014年に「DOZILLA」を1億6000万
ドルを掛け、日本のゴジラに敬意を払いつつ作り上げ大ヒットさせてしまった。
勝負は付いた、日本の完敗である。私はゴジラの「ウインブルドン現象」と称した。
しかしどっこい大和魂は死んではいなかった。東宝は思い切って「エヴァリ
ゲリヲン」の庵野秀明監督に頼み込んだ。特撮はあの「進撃の巨人」の樋口真嗣
監督を擁して、この2016年にゴジラを再生させたのだ。正に背水の陣と言える。
再生とハリウッドに対抗するためには、今までの概念と伝統を捨てねばならぬ
1)ぬいぐるみゴジラを捨て、全てCGと最新VFXを採用することである
2)1954年からのゴジラではなく、今発生したゴジラつまり新シン・ゴジラとした。
3)日本版の失敗はゴジラを子供のアイドルにしたり、宇宙人を登場させて
荒唐無稽にしたことだ。これを止め今、本当にゴジラが出現したら日本人
はどう対処するか?と極めて現実的なリアル・モードにしたことだ。
4)男女の恋愛ドラマを排除し。あくまで科学と経済と政治ドラマに特化した。
科学としては、何故ゴジラが発生したか?ゴジラの正体は何か?
ゴジラを倒すにはどんな科学+化学の兵器が必要か?
経済としては日本株は暴落 為替では円が暴落した。
政治として、ゴジラ対策として政府はどんな決定をせねばならぬか?
日本の危機である、当然自衛隊に出動してもらわねばならない。となると
災害対策基本法と自衛隊法81条(治安出動)76条(防衛出動)を
発令し、総理は武器使用の許可を出すことになる、総理は決断を迫られた。
この映画の面白さは、内閣、国会の政治家の右往左往と、官僚主義の横行で
ある。自衛隊の総攻撃で歯が立たないゴジラに、日本政府はいよいよ日米安保
条約から米国に助っ人を頼んだ。
しかし例によって米国は世界(自国)の安全のためと称して日本に対する
核攻撃の準備をはじめた。
日本は前門のゴジラ、後門の米国核兵器に挟まれる、果たして日本の運命は?
右往左往しつつも野心丸出しの政治家たちに比べ、自衛隊は皆、慄然として
格好良く画いているのが面白い。
この映画の主役は内閣官房副長官(長谷川 博己)、総理大臣補佐官
(竹野内 豊)、米国大使館特使(石原さとみ)
防衛大臣に(余 貴美子)、自衛隊将校に(國村準)(小林隆)
自衛隊員に(ピエール瀧)(斎藤 工)(鶴見辰吾)など
総理大臣(大杉漣)、内閣官房長官(江本明)、農林大臣(平泉成)、
東京都知事(光石 研)、代議士(松尾諭)、
いずれにせよ、ウインブルドン現象から脱して日本国産ゴジラが復活できた
ことは日本人として無上の喜びである。今後とも東宝、否!日本映画には
頑張ってもらいたい。
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