昨夜、TVの夏休み映画スペシャルで放映されましたので 再掲載
手塚治虫の漫画で育った私にとって、その映画化となると観に行かねば
なりません。作品は「どろろ」 ふむ~ 確か「少年サンデー」に連載
されたと記憶、手塚作品の中ではマイナーな方ですネ
「どろろ」は水木しげるさんの「ゲゲゲの鬼太郎」など妖怪マンガブーム
真っ盛りの時、鬼太郎人気に嫉妬した手塚治虫が「ボクも妖怪マンガくらい
画ける!」といって創作したと聞く、頂点を極めた大御所手塚でも嫉妬が
あったとは驚いた次第。
しかし同じ妖怪ものといえ、水木しげるさんや、梅津かずおさんの
おどろおどろしいペンタッチ(画質)や、小市民的舞台とは全く
異なっており比較の対象になりません。
どうしても手塚が画くと、「火の鳥」の如く、大スケールの時を超えた、
耽美的な日本の古典「今昔物語」「雨月物語」的ロマンの世界になる。
「どろろ」も戦国時代、天下の覇権を握らんとする領主が、その野望
成就と引き換えに、48体の妖鬼達と取引をした事から悲劇は始まった。
悪魔と取引して栄光を手に入れるが愛するものを失う悲劇はゲーテの
「ファウスト」の如くである。手塚はファウストものが好きみたいだ。
取引の条件は、近々生まれる自分の子供の体を、48体の妖鬼に分け
与えるというものだった。果たして生まれた子供は、手足、目、耳鼻が
失われた小さなダルマであった、無残な姿に驚愕し、領主と妻は小さな
赤子を桶に乗せ川に捨てた。
時が経ち、数奇な運命をたどり、その子は百鬼丸という少年となった。
もちろん手足、目、耳鼻、内臓など48ヶ所は作りものであるが、
めっぽう腕の達つ強い剣士であった。そして彼の行く先々を、戦災孤児
の泥棒どろろが付きまとう。
百鬼丸の旅は自分の体を取り戻すため48体の妖怪 鬼と壮絶な戦い
の旅であったのだ。この映画の見所はSFXによる妖怪との戦い振り
である、そして最後は父親である城主との運命的な出会いとなる。
百鬼丸に美形男優(妻夫木聡)どろろに(柴咲コウ)、ふむ~男女逆の
の様なキャラに二人ともうまくハマっている。ふむ~ 今最も旬な二人、
もう出来ている!という「噂の二人」ゆえ話題性も十分である。
非情な城主に中井貴一、その妻(悲劇のお方さまといえば必ずこの人)
原田美枝子さん、育ての親で呪医師に原田芳雄と渋く脇を固めている。
SFXやコンピューターグラフィック技術が非常に発達した現在、
従来アニメでしか表現できなかった手塚作品を実写として映画化できる
様になりました。先に述べた如く手塚作品はスケールが大きく、耽美的
でありSFは勿論、ファンタジーもの社会ものなど、ストーリーが映画
むきなのであります。
ハリウッドは企画と脚本不足である。アカデミー賞のディパーテッドの
如く各国の映画リメークをしている有様、今後たぶん 手塚マンガを
原作として映画化してくることが想像されますし、それは私の期待する
ところであります。
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