今年の3月 Jリーグの浦和レッズ対サガン鳥栖との試合で、浦和の
ファンが掲げた横断幕の文字が物議を醸した「JAPANESE ONLY」である。
これが外人排斥の人種差別として糾弾され、次の清水エスパレス戦で
「無観客試合」という重いペナルティを課された。
この文字は黒人差別の象徴、トイレに啓示された「WHITE ONLY」から
来ている。こう書かれたトイレは白人専用で黒人との共同使用はお断り
という意味。これを無視して使用した黒人女性レイチェル・ロビンソン
(ニコール・ベハーリー)が夫のJ・ロビンソン共々、飛行機の搭乗を
拒否されるシーンが印象に残った。
という訳で、「42」に一言、42とは史上初の黒人メジャーリーガー、
ブルックリン・ドジャースの(ジャッキー・ロビンソン)の背番号である。
毎年4月15日全米メジャーリーグMLBは「ロビンソン・デー」として
全球団選手が全球団永久欠番42の背番号を付けてプレーする。
イチローさんもマー君も着ていたと記憶するが、これは彼の不屈の偉業
を称え、米国野球界は人種差別をしないというアピールであろう。
1945年米国最大のスポーツ、プロ野球メジャーリーグは白人だけの
世界であった。 その世界に初めて黒人J・ロビンソン(チャドウイック・
ボーズマン)を迎え入れたのはドジャースのGMブランチ・リッキー
(ハリソン・ファード)であった。
人種差別甚だしい当時の米国で、白人のスポーツ野球であった野球を
黒人がプレーすることは生半可なことではなかった。
GMのリッキーは入団の条件としてロビンソンに約束させた「差別に対
して仕返しをしない勇気を持つんだ」ということであった。
球団内ですらプレー拒否する選手が大勢いた。これにレオ・トロチャー
監督が一喝、「肌が黄色でも黒でもシマウマ模様でも 俺はチームの
ためになる選手を使う、従えない奴は去れ!」と叫んだ。
この映画は、球団内部の軋轢、対戦相手からの卑屈なヤジとラフ
プレー、観客からの罵詈雑言と過激な嫌がらせにJ・ロビンソンが
如何に耐え抜いたかが見どころ、そしてチーム仲間が次第に彼を
見直し、尊敬していき、同僚として彼を守ろうとなって行く変化が
誠に面白いところだ。
また、世間や球界からの圧力に負けずに、逆に差別者を説得する
GMブランチ・リッキーのバイタリティーと人徳に大いにひかれるものが
ありました。ハリソンさん、いい役を演じましたネ。
監督と脚本はブライアン・ヘルゲランド、(LA・コンフィデンシャル)
1997, (ミスティック・リバー)2003など優れた脚本家出身。
アメリカ風俗とアメリカ人気質を最も感じることが出来るのは、常々
野球映画であると思う。私にとって好きなジャンルの一つであります。
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