真田広之はもう完全にハリウッド役者である
滅び行く地球、それを救うため決死隊が宇宙へ向かう、
こういうプロットのSFものに弱い私、必ず見てしまう。
という訳で、最近機内上映で見た「サンシャイン2057」に一言。
いまから50年後の地球、2057年、太陽の火が消えつつあった、
太陽が死滅、さすれば当然、わが地球も滅びてしまう。
私にとって、科学的な理論が判るはずもないが、ワンチャンス、
太陽の一点に核爆発を起せば、太陽は再生し滅亡を食止められる
という設定。
宇宙飛行士、科学者、エンジニア、医者など男6女2の8名を乗せ
宇宙船イカルス2号が太陽に向け送られた。この2号こそ人類に
とって最後の希望であった。
なんせ相手は太陽だ、消滅しつつあるとはいえ、全てを溶かす
何万度という灼熱である。宇宙のコア、神の領域、限界点まで
接近すると、人間の肉体と精神に変調も起こり、超常現象が起
こる。
そもそも宇宙船の名前が「イカルス」なんて!不吉な名前である、
ギリシャ神話でロウで固めた羽を作って空を飛び、太陽に近付き過
ぎて、墜落死した人の名前ですヨ、はじめからやる気があるのか?
そしてこの船の船長役は、な!なんと真田広之ではないか!
彼はもう完全にハリウッド役者である。渡辺謙の如く日本人が
ハリウッド映画に出ているのではなく、日系米国人の域に達して
いる、つまり主役級の渋い脇役を自然にこなしているのだ。
真田の船長役はラストサムライの氏尾の如くストイックである。
中国系米国スターのミッシェル・ヨーとも妙に息が合っていた。
いよいよ太陽の灼熱圏にはいり、地球との連絡は取れなくなった、
その時、7年前出発し、消息を絶っていたイカルス1号からと
思われる、かすかな救難信号をキャッチしたのだ。
SFの世界では「微かな救難信号」というのはクセモノであります。
「2001年宇宙の旅」も「エイリアン1」も信号に釣られて寄り道を
して大変な目にあってしまうのです。この映画も例にもれず
ヨ・リ・ミ・チ それが災いへ・・・・結果は?
太陽の真赤なコロナと暗い宇宙船の対比が印象的な映像を作り出す。
何と言っても、この手の映画の面白さは閉鎖空間の人間ドラマ、
登場人物は8名+1のみ、任務達成こそが最重要と判りつつも、選択
と判断に狂いが出る、スタッフの人命順位も決めなければならないなど、
人間の葛藤があります。
今から50年後の世界、しかし地球温暖化がどんどん進んでいる現在、
いまから、やるべきことをしなければ映画の如く手遅れになる、
その意味でこの映画はSFでなくリアリズムであると思いました。
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