「ボーン・アイデンティティー」に於けるCIA幹部は(クリス・クーパー)
「ボーン・スプレマシー」に於けるCIAの部長は(ブライアン・コックス)
そして「ボーン・アルティメイタム」に於けるCIA長官は(スコット・グレン)
そして、遂にこの映画で現れた悪の首領の博士は(アルバート・フィニー)
でありました。
悪の役職が上がるにつれて、より存在感のある役者が現われホント嬉しい。
「B・アイデンティティー」から言われてきた極秘計画「トレッドストーン」
とは何か? 正に国家による犯罪である。権力と悪が結びつくと、もはや
出来ない事など無いやり放題である。(最近、わが国の防衛省も同様ですナ)
国家にとって「好ましからざる者」の対策として、最も確実で経済的=安上り
な方法は「暗殺」である。
米国の情報機関CIAは1947年の発足当時から、その手法を多用したといわれる、
キューバのカストロ暗殺計画、チリのアジエンデ大統領暗殺、コンゴの指導者
ルムンバ、自国のJFケネディー大統領とRケネディーまでも抹殺したらしい。
しかしさすがに遂に、1976年フォード大統領により「暗殺」禁止令が出された。
旧ソビエト=現ロシアにとって、KGBによる暗殺は正に得意技であります。
昨年チェチェン戦争のジャーナリスト、アンナ・ポリトオフスカヤさんが暗殺
され。今年も旧KGB局員(A・リトビネンコ)氏が放射性物質「ポロニウム210」
を投与され被曝し、無残に殺された事件があったが、ロシア政府の仕業だろう。
日本でも古くは「必殺仕掛人」として藤枝梅安(緒形拳)と中村主水
(藤田まこと)などもいた・・あれ!これ関係ないか!
話をもどし、この映画の如く、米国の現CIAも負けてはいられない、最も
確実で安上りな問題解決法「暗殺」という道具を捨てる訳が無かったのだ。
秘密裏に暗殺のスペシャリスト「暗殺者」を育成した。彼こそジェイソン
・ボ~ン(マット・デイモン)であったのだ。そして政府にとって国益に
ならない国民まで標的にしたのだ。
私がこのシリーズが好きなのは、ボーンも彼を追う刺客も皆、硬派で
ストイックなスペシャリストである点だ、角刈り頭で、鍛えぬいた体格
浮いた所が全く無い、これがミッションインポや007と異なる点である。
恒例であるが 最初はCIAがボ~ンを追い詰めるが、後半はボーンの逆襲が
はじまり政府高官を震え上がらせる、この顛末が誠に面白いのだ。
カメラワークもすばらしい、まるでドキュメンタリー映画を見ている様だ。
それにしても、ボーンが今まで殺害した人の身内を訪問し、謝罪して歩く姿
を見て思った、ふむ~、この計画失敗の最大の原因は、あまりにモラルが高く
情の深い男を選んでしまったことだ。昨今は普通の人が簡単に人を殺す風潮
だが、そんな普通の薄情者を選んで育成していれば、「トレッドストーン」
計画は見事に成功していただろうネ。
監督はポール・グリーングラス
いやぁ~、映画というものは悪役の格で決まりますね。
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