いまから30年前、仕事でよくアメリカ西海岸に出かけたが、
その時、エアポートで「黄色一色」に塗られた旅客機をよく見かけた。
機体には紫のロゴで「Hughes Air」と記してあった。
あのど派手な旅客機は何ですかネ?と隣の席の客に聞くと、
ああ「フライング・バナナ」ね!あれは世界一周飛行を達成した大富豪
(ハワード・ヒューズ)の飛行機会社の飛行機さ!と嬉しそうに話して
くれた。アメリカ人はハワード・ヒューズが好きみたいだった。
という訳で「アビエイター」=飛行機の操縦士(日本公開は2005年)
マーティン・スコセッシ監督作品について一言
いやはや波乱万丈の一生とはこの事を言うのだろう、18才で両親を
失いハワード・ヒューズ(レオナルト・ディカプリオ)は父の会社と
巨万の富を相続した。
若き億万長者はやりたいことは何でもやった。先ず飛行機製造会社を
買収し自ら製作した飛行機を自ら操縦してアメリカ大陸横断記録を樹立、
1938年には世界一周飛行を成功させた。一躍彼は米国の英雄となった。
そして大手航空会社「TWA」を買収し国際路線に進出を図るが、
当時のライバル会社「パンアメリカン航空」の手先であるオーエン
上院議員(アラン・アルダ)に訴えられ公聴会に引っ張り出された。
彼は窮地に陥るが、元恋人に励まされ、逆にオーエンとパンナムの癒着
を暴き、見事逆襲に成功、アメリカ国民やマスコミから大喝采を受けた。
元恋人とは当時ハリウッドの大女優キャリン・ヘプバーン(ケイト・
ブランシェット)である。当時H・ヒューズは映画製作まで手を広げ、
史上空前の予算で「地獄の天使」1930や「暗黒街の顔役」'32をつくり、
大ヒットさせた。しかし金持ちの道楽映画として儲からなかったと聞く。
「英雄色を好む」の如くキャサリン・ヘプバーン、キャリン・ヘプバーン
ケイト・)、ジーン・ハーロウなどハリウッド女優と浮名を流していたのだ。
地球上の富の半分を持つ男とも言われたが、晩年は孤独であった。
幼きころ母から「恐い細菌感染予防の隔離」を教えられた「潔癖症」が
トラウマとなってとなり、血が出るほど石鹸で手を洗ったり、自分の
豪華ホテルの一室に閉じこもってしまったのだ。後に孤独死をした。
MASHのアラン・アルダが上手い、癖のある悪党をやらせたら一番だ。
それからケイト・ブランシェットが知的な大女優キャリン・ヘプバーン
の魅力を見事に表現、これで77回米国アカデミー助演女優賞を獲得した。
デカプリオは本当に演技派である。H・ヒューズも、J・エドガーも
個性的な実在人物を迫真の演技で見せてくれた。しかしノミネートされ
てもアカデミー委員会は彼にアカデミー主演男優賞を与えようとしない。
「タイタニック」'97でも「ギャング・オブ・ニューヨーク」'02でも
「J・エドガー」'11でも決して与えない。何ゆえ、時代を反映する
主役スターに与えないのだろうか?多分、審査員達は皮肉屋の集団だ、
芸術家を気取り、敢えてハンサムな人気主役スターを避けるのだろう。
トム・クルーズにもブラッド・ピットにもレイフ・ファインズにも
与えない。そして「旬」で無くなってから慌てて名誉賞でもやるハメに
なってしまうのだ。残念なことですネ
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