さて本件、オペラの女王(マリア・カラス)の歌が見事に甦る
ファン必見の映画、それは「永遠のマリア・カラス」2002です。
この映画は記録映画でもなく、マリア・カラスの伝記でもありま
せん。内容はあくまでもフィクションだが、カラスの本当の友で
あり、カラスの心情を良く知り、カラスの芸術を心から愛していた
(フランコ・ゼフィレッリ)監督が自ら脚本を書き映画化したもの。
この物語はフィクションながら、監督の望み、カラスの望みを
忖度したストーリーで。ある意味で本当のカラスを知るための
「真実のフィクション」と言えるもの、カラスの歌の記録としても
誠に貴重なものと言えましょう。
失意のマリア・カラス(ファニー・アルダン)は歌から離れ、
人目を避け生活していた。心を癒すものは睡眠薬とお酒と
カードの日々、もはや過ってのソプラノ美声を失っていたのだ。
昔、彼女のプロデューサーであったラリー(ジェミリー・アイアンズ)
は世紀のディーヴァ(歌姫)であるカラスをもう一度表舞台に立たせ
たいと願い、ある企画を持ち込む。
それは絶頂期に録音したレコードを使い、カラスが主演する映画を
作ることだ。それは有名なオペラ「カルメン」であった。
ラリー の強い説得と、彼女の芸術意欲が甦り、映画製作に取り掛かる。
ファニー・アルダンはカラスを見事に彷彿させた。しかしなんと
言っても見所は歌そのものが(マリア・カラス)であるところだ。
この映画は「カラスの晩年」をテーマにしているが、本当のことを
言うとカラスの生い立ちから絶頂期までが「映画的波乱人生ドラマ」
なのだ。
この映画とは関係ないが背景説明としてこの辺を少々紹介します。
オペラの歴史の中で最も偉大な歌手であったマリア・カラス、
彼女のソプラノ美声はその神秘的な美貌と相まって全世界を
魅了し続けた。しかし彼女の生い立ちから死に至るまでの
私生活は幸福から程遠いものと言えよう。
ギリシャ移民の子、1923年ニューヨークで生まれた。待望の
男子でなかった故、母から疎まれ続けた。歌の勉強のため
ギリシャ、アメリカ、イタリアと渡り歩くが才能を認められず
貧乏な生活が続く、イタリアでスポンサーであった(メネギーニ)
と結婚する。彼は狭量なる金持ちであった。
その後、彼女は世界的なプリマドンナに成長するが、メネギーの
マネージャーとしての金銭感覚と尊大さが多くの敵を作った。
世界中で賞賛され多くのファンから支持されているものの
高名な貴族的評論家でマリアの才能を認めようとしない勢力も
依然としてあり、彼女は苦しんだ。
そんな時に現れたのがあの!大富豪であるギリシャの海運王
(アリストテレス・オナシス)である。彼は狙った(女)は
金にものをいわせて絶対手にいれる男、そして絶倫男である。
マリアを王女の様に扱った。果たして!彼女は夫メギニーを
捨てオナシスの元へ走ったのだ。
しかして9年後にマリアに対する興味を失ったオナシスは
こともあろうにあのJ・F・ケネディーの未亡人である
(ジャクリーン)と電撃結婚してしまった。マリアは紙クズの
如く捨てられてしまったのだ。
マリアの失ったものは大きかった、精神的打撃はもちろん
オナシスとの生活は歌から距離を置き、飲酒とたばこの生活
今となってはあのソプラノも失っていたのだ。
もはや立ち直れない状態となっていた。
そしてここから映画「永遠のマリア・カラス」は始まるのです。
彼女の理解者で親身な人もいた、あの(ルキノ・ヴィスコンテ
監督)この(フランコ・ゼフィレッリ監督)(パゾリーニ監督)
彼女は恋心を抱いていたはず、しかし悲劇的な事は、皆さん
ご承知の如く、彼らは皆「女に興味の無い」人達だったのです。
1977年彼女は突然死んだ、死因も明白でない、さらに3日後に
火葬されてしまった。謎を残している。孤独な最期であった。
彼女の歌が我々の心に常に響くのはこの苦悩と孤独のせいだろ。
彼女の歌が我々の心に常に響くのはこの苦悩と孤独のせいだろ。
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