こんなテンヤワンヤから始まる
いやぁ~、親戚や一族が集まる行事が少なくなりました。
核家族、晩婚 少子化が進み、親戚が少なくなりました。
昨今の結婚式は、入籍記帳のみか、地味婚流行(ばやり)、
金持ちもハワイの教会で内輪で済ませる時代になりました。
よって、一族が集まるのはせいぜい葬式だろう。特に通夜
は珍しい人に会えたり、故人にまつわる知らなかった面白い
話が聞けるものだ。という訳で、「寝ずの番」に一言。
女将(冨司純子)さんや弟子達が見守る中、
上方落語界の重鎮、笑満亭橋鶴(長門裕之)がいよいよ臨終の
ときを迎えようとしていた。
朦朧としながら何か話しているので
弟子が問うた。何と!「そそ・が見たい」と言ってるらしい。
「そそ」というのは、女の人の「あそこ」のこと、
厄介なこととなった!女将さんの手前もあるが、弟子達は
何とか師匠の最期の望みを叶えてあげたいと、弟子・橋太
(中井貴一)の女房(木村佳乃)のそそに白羽の矢を立てた。
いやはや!可笑しいのなんの、
まぁ!橋鶴師匠はたっぷり拝観しながら?あの世に逝った。
この映画こんなテンヤワンヤから始まるが、これはまだ
ほんのプロローグに過ぎなかった。
この映画のテーマは、師匠、兄弟子、そして女将と立て続けに
あの世に逝くことになるが、そんな3故人の通夜の思い出話に
花が咲くという話。
花街芸者、旦那、噺家たち、それは所謂「粋筋」世界の人です、
そこは色気と洒落と猥褻の世界。女将は売れっ子芸者だった、
入揚げて身上潰した旦那と噺家・橋太との三味線合戦は見もの。
旦那はかくし芸の王者(堺正章)私に言わせると親父(堺俊二)
と異なりあまりに何でも器用すぎて名バイプレヤーになり損ね
た役者と思うが、やはり三味線も歌も旨いこと旨いこと見事だ。
全て猥歌(わいか)=下ネタ歌合戦、お○○こ、お○○ぽ、これで
もか!のオンパレード。私が大学時代に歌いまくった艶歌も多々、
殆ど記憶から失せていたが思い出した。
この映画を見るに、あらためて、この世は男と女しかいない、
どんな人でも所詮やることは同じで一つと再認識した次第です。
こんな卑猥な粋筋世界を映画にした人は誰か?とクレジットを
見たら納得!マキノ雅彦監督、他でもない(津川雅彦)であった。
祖父マキノ省三、父は沢村国太郎、叔父は加東大介、叔母は沢村
貞子、正に芸人粋筋一家に育ち、本人も若きころは筋金入りの
遊び人だった。
さすが津川雅彦さん! 正に血筋と多々なる浮名
体験ゆえ創れた作品。 「女は芸の肥やしを証明しましたネ」。
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