平山さんの朝の起床時間は5:15分で、私と同じだ!
という訳で「Perfect-days」に一言
平山さん(役所広司)は安アパートで一人で暮らすトイレの
清掃員だ。朝 5:15分に起床、布団をたたみ、顔と歯を磨き
作業服を着て、出口の棚からサイフとカギの束をとり、家の
横の自動販売機でジュース一缶買って作業車に乗り込む、
これが朝飯だ。古いテープの「朝日のあたる家」を聞き
ながら現場へ向かう、我々の時代の懐かしい曲だ。
渋谷区の公衆トイレに着いた。サクサクと手際良くトイレの
ゴミを片付け便器を丁寧に磨く、彼の清掃はいつも完璧だ。
トイレを使用したい人が来ると中断し、トイレの外で待つ。
優しい男だ。一つのトイレが終わると次に移動する。
昼になると神社境内のベンチに座りサンドイッチを頬張る。
木漏れ日を眺め、嬉しそうにコンパクトカメラで撮影する。
樹の根元に木の芽を見つけると手で根掘りし分けてもらう
もちろん宮司の許しを得てのことだ。家の小鉢で育てている。
仕事を終え、家で作業着を脱ぎ、自転車で風呂屋に向かう
仕事がら先ず風呂だろう。時間的に一番風呂だ。いつもの
常連達がいる。ゆっくり湯船に浸かり疲れを取る。
帰りに地下街の一杯呑み屋に立ち寄る、店主はいつもの
同じ肴と焼酎水割をサッと出してくれる、これが晩飯だ。
家に帰り布団を引き、枕スタンドの光の下単行本を読む。
読書好きだ。古本屋の100円本、毎回女店主が講釈付きで
勧めてくれる本だ。今回は(ウイリアム・フォークナー)
野生の棕櫚(しゅろ)で、読んでいる内に眠りに落ちる。
朝5時15分起床、布団をたたみ、また同じ一日がはじまる。
日曜日は休みだ、やはり彼も男の子、なじみのママ(石川
さゆり)がいるスナックに通う、ママに恋心を抱いている
ようだ、ママのカラオケを聞きながら一杯を楽しむ。
突然、姪子が訪ねてきた、何年ぶりだろう、母と喧嘩して
家出してきたと言うのだ。同居することになり、いつもの
ペースが崩れる、ここで僅かであるが彼の出自が垣間見えた。
彼はどうも鎌倉の資産家事業主の長男であったようだが、
後継ぎを拒否して、家を出て東京で一人暮らしをする様に
なった様だ。詳細はわからない。
母が迎えに来て、姪はしぶしぶ家に戻った。また一人暮らし
に戻った。昔を思い出し孤独を感じ、涙が止まらなくなった。
彼の生活をうらやましく思った。人は規則正しい生活をすると
気力維持できる。私など寝坊してスタートが遅れると一日だら
だらになってしまう。無駄遣いしない清貧生活は気持ちが良い、
人と諍いを起こすと悩み落ち込む、一人暮らしは摩擦がない、
孤独だが気楽でもある。悩み少なく、気持ち良く、気力が続く
平山さんの生活こそ「パーフェクト・デイズ」と思った。
ホントセリフが少ない無声映画だ。、監督はなんとドイツ人の
名匠(ヴィム・ヴェンダース)、この映画で役所広司はカンヌ
国際映画祭最優秀男優賞を受賞した。
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