おどろいた2018年第90回アカデミー作品賞と、監督賞に
「シェイプ・オブ・ウォータ」、あえて直訳すると「水の形」
が輝いた。更に美術賞、作曲賞と4部門で受賞した。
何故驚いたか?いわゆるSF怪獣映画だからだ。今まで
「キングコング」「ゴジラ」「ジュラシック・パーク」「ドラキュラ」
など名作は多々あったが、特撮賞、特殊メイク賞などはあっても、
常識的にはメジャーな作品賞や監督賞を受賞することは
あり得なかった。
この快挙を遂げたのはメキシコ人のギレルモ・デル・トロ監督、
今まで何度も言ったが、私が生まれて始めて見たと(記憶)
する映画はゴジラ(1953)、恐怖のPTSDにより爾来
怪獣映画好きとになった。ゆえに怪獣特撮のデル・トロ監督
のファンとなりよって、この受賞を大変喜んでいる次第。
今までのデル・トロ作品は「ヘル・ボーイ」、「パシフィック・リム」
などキワモノでありながら、徹底的に特撮細部に拘る、正に
オタク監督なのだ。
さてこの映画、舞台は1962年のボルチモア、トランプ大統領が
いう最も豊かだった栄光のアメリカ時代だ。一方その時はアメリカ
とソビエトの冷戦の時代でもあった。
アマゾンの奥地で現地人から神と言われた半魚人が捕獲された。
米軍は生物兵器に使うべく生体調査をした。しかし軍の将校
(マイケル・シャノン)は実験と称して虐待をしていたのだ。
その秘密研究所の掃除婦イライザ(サリー・ホーキンズ)は
半魚人を不憫に思い、ゆで卵を与える、しかし彼女は口が
利けない境遇、手話やレコード音楽で意思を通じさせたのだ。
なんと!その内に彼女と半魚人に愛が芽生えたのである。
軍は半魚人を解剖すると決定した。彼女は半魚人を逃がす。
しかし冷酷な軍将校は執拗なる追跡を開始した。
怪獣映画といえ、60年代の街並み、部屋の造りはオール
ディーズアメリカンを見事に再現した。当時のムーディーな音楽
が何とも言えぬロマンチックな風味を醸し出し、正に恋愛映画
に仕上げたのだ。
脇役が良い、同僚掃除婦セルダ(オクタヴィア・スペンサー)は
太っちょな黒人女性、いつも亭主を愚痴まくるが、これが面白
いの何のって!かなりHで聴講に値する。
隣人の年寄(リチャード・ジェンキンス)、さすが名脇役の骨頂
当時のゲイは辛い。イライザとは正に親友であり彼女を助ける。
半魚人、トイレの掃除婦、発声障害者、肥満の黒人、ゲイ、
監督はメキシコ人と全てが少数被差別人ばかり、彼らが主役
で助け合い,権力に対抗した。
映画の出来はもちろん素晴らしい、加えてトランブ大統領のメキ
シコ移民排斥や差別傾向に対するアンチが映画の中に見える
のだ。これが大きな共感を呼び、怪獣映画の初作品賞&監督
賞になったと思う。
まだ上映中ゆえ たまには劇場へどうぞ。
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