NHKの軍師官兵衛も後半、天下人となった秀吉はどんどんと尊大となり
自分の意に沿わぬものを断罪していく。千利休も被害者の一人であった。
という訳で「利休にたずねよ」2013に一言
秀吉に信任され側近中の側近であった茶道の師(千利休)が
何故腹を切らねばならなかったのか?
この謎を探る小説の代表は(野上弥生子)の「秀吉と利休」でしょうネ
何と!野上さん79才で女流文学賞を受けた作品。その映画化が「利休」
1989,(三国連太郎)の利休、(山崎 務)の秀吉の対立は見ものであった。
また脇を、松本幸四郎、中村吉右衛門、坂東八十助、中村橋之助、
中村獅童、観世栄夫など歌舞伎 中村系総出という凄い作品でした。
監督は(勅使河原宏)の松竹作品、モントリオール映画祭 最優秀
芸術貢献賞受賞を得た。
さて今作「利休にたずねよ」2013、原作は山本兼一の直木賞受賞の
小説。しかし何と!山本兼一氏は2014の2月に58才で逝去された
のだ。この映画に大変満足していたことがせめてもの慰めであった。
主演、利休は(市川海老蔵)その師匠に(市川團十郎)と歌舞伎の
成田屋が受け持った。しかし何と!團十郎は公開前2月に逝去された
のだ。最後の親子共演がせめてもの慰めであった。
監督は(田中光敏)、彼は山本兼一原作の「火天の城」2009を映画化
した縁でまた山本作品「利休にたずねよ」を作ることになったのだ。
東映作品で、これまたモントリオール映画祭 最優秀芸術貢献賞受賞する
など どうも、ことごとく勅使河原の「利休」と対立していると思う。
歴史的に利休は秀吉より10歳も年上で、切腹時は69才であった。
年齢による上から目線が切腹に至る重要なポイントであるが、それなら
海老蔵さん若すぎますわ!
利休は信長の茶頭であったゆえ、秀吉は常に信長と比較されていたこと、
秀吉の重臣たちも利休の茶の湯弟子で尊敬されていたこと、家康や正宗
など諸大名とも親密であったことなどなど 秀吉に嫉妬が生まれ、頭を下げ
ぬ利休に対し苛立ちが募り、ついに切腹となる。
小説では信長、秀吉、家康、光成、細川忠興などのモノローグ的な証言
や詳細なエピソードから切腹に至る謎解きミステリーが誠に面白いのだが、
映画では映像のみの表現ゆえ、深いところが判らぬまま、只々わがままな
秀吉と、頑固な利休の対立ゆえの切腹となってしまったのが残念である。
それにしても現在茶道の表千家、裏千家、武者小路千家は全て千利休家
であり、利休死しても「侘茶」を残したのである。
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