なんにつけ日本人は危機管理に対して無頓着で楽天的である。
基本的に農耕民族、村社会、四方を海に囲まれた島国だからだろう。
その点米国の危機管理システムは凄い、経済的・軍事的に世界の
警察官であり、大量の核ミサイルを配備しているからであろう。
この映画「ホワイトハウス・ダウン」を、この観点から見ると面白い。
米国の大統領が突然死したり緊急に執行不能になった場合どうなるか?
大統領はなんせ核ミサイルの発射ボタンを握っている人だ。
ということは人類の殺生権を持っている人と言えるからだ。
万一の場合の大統領継承順位は以下である。
大統領ー副大統領ー下院議長ー国務大臣→他大臣に引き継がれる
ある日ホワイトハウスの議事堂が爆破され、謎のテロリスト軍団の襲撃を
受け、乗っ取られた。大統領の生死もテロの捕虜になったのかも判らない。
この事態を受け、危機管理マニュアル通り、副大統領はエアフォース・ワンで
上空に避難し、下院議員は核に耐える地下シェルターの司令部に避難した。
さてホワイト・ハウスの中は破壊され、護衛兵もシークレットサービスも全滅状態
だった。しかしジェームス・ソイヤー大統領はたまたま娘と見学に来ていた議会
警察ジョン・ケイル(チャイニング・テイタム)に助けられ、ホワイトハウスの
地下迷路に逃げ込んでいた。
この地下迷路こそケネディーがマリリン・モンローと逢引するために利用した
抜け道であった。ここは観光名所になっており、正に「英雄色を好んだ」
証拠の場所である。
さてこの映画の見所は3つ、主役の名前がジョンの如くジョン・マクレーンを
若返りさせた「ダイ・ハード」そのものなのだ。家族に疎まれ、孤軍奮闘、血
まみれでテロリストと戦う、 ジョンの娘(ジョーイ・キング)も人質となり、
また大統領特別警護官(マギー・ギレンホール )が外部協力者となる
のもダイハードと同じ。
もう一つは監督がローランド・エメリットである点だ。彼は「都市破壊映画」
の巨匠である「インデペンデンス・デイ」1996,「Gozilla」1998,「デイアフタ・
トゥモロー」2004,[2012」2009と悉く都市を破壊してきたが、今回は
ホワイトハウスやエアフォースワンを破壊するアクション映画を作ったのだ。
最後にホント同時期 同テーマで作られた映画「エンド・オブ・ホワイトハウス」
と見比べることである。
さて何といっても映画の面白さは、権力の継承である。副大統領も、
上院議長や将軍までも大統領の死を待っているかの様だ。
そしてこの黒幕は何と!ネタバレとなるが軍産複合体であった。
映画「JFk」1991で暗殺の黒幕は軍産複合体の政治グループか?
とオリバー・ストーン監督が世に暗示して以来、このイメージが米国民に
定着している様だ。
正に「オバマ」と連想させる黒人ソイヤー大統領(ジェイミー・フォックス)
を登場させ、犯人は中東の軍縮に反対する勢力によるものとした。
「オバマ」さんは紛争諸国からの撤退、世界の警察からの撤退を目指して
いるところゆえ、現在の「権力闘争」を生生しく感じましたヨ。
ホント映画は雑学の宝庫であります。
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