2013年11月6日、いよいよ米国大統領選挙の日が近づいている。
現職大統領の民主党のオバマか起死回生を狙う共和党のロムニーか、
本日現在の世論調査での支持率はオバマ47%、ロムニー46%と正に
激戦の一騎打ちとなっている。
候補者の魅力、公開討論会でのディベートの出来不出来、金持と
貧乏人の富の再分配、宗教、堕胎、同性愛などをどう扱うかで、
各種団体からの支持が決するゆえ、両陣営とも政策発言は真剣
そのものである。
当然汚いネガティブキャンペ~ンもあるし、スキャンダルは禁物
である。という訳で、激しい選挙の舞台裏を生々しく画いた
「スーパー・チューズデー」に一言。
いやはや面白い、日頃より政治的に一言あり、政治的活動もして、
様々な時事的映画に出演している役者(ジョージ・クルーニー)の
製作・監督・出演ですもの、選挙の裏側を見事に暴いた秀作です。
米国大統領選挙はやや複雑、民主・共和党とも先ずそれぞれの党
から大統領候補者を選ぶために州ごとに予備選挙をする、それに
ペンシルベニア知事モリス(ジョージ・クルーニー)が立候補した。
モリスは政治的キャリアがあり、ハンサムで弁舌が立ち、人格、
モラルとも申し分無く民主党からの有力は大統領候補者であった。
本当に彼の演説を聞くと票を入れたくなるほど素晴らしいですワ。
その選対の広報官スティーブ・マイヤー(ライアン・コズリン)は
スピーチ原稿造りやイメージアップに手腕を発揮し、彼の能力を
誰しも認める存在であり、何よりも彼はモリスを心底信奉していた。
対立候補のベテラン選挙参謀(ポール・ジオマッティー)は劣勢を
跳ね返すためにマイヤーに対してある罠を仕掛けてきたのである。
ジオマッティーさん、いつも一見風采の上がらないおっさん風で
あるが、したたかな男、彼が出るとリアリティーが増す。
いやはや選挙は汚いというが、正に勝つためには手段を選ばない、
票と引き換えに政治信条を曲げて、忌み嫌う相手に主要ポストの
約束手形を切る始末。
どんな聖人も英雄も下半身は別物である、スキャンダルは必ずある。
その後始末を奇麗にするのも選挙公報官の仕事である。
そして男達の権力闘争の果ては、脅しと裏切りの世界であった。
モリスの選挙参謀役に曲者役者である(フィリップ・シーモア・
ホフマン)は益々太ってふてぶてしい。新聞ネタを探る女性
ジャーナリストに(マリサ・トメイ)と演技派を擁した。
この映画の英語原題「The Ides of March」は3月15日のこと、
3月15日は選挙の山場スーパー・チューズデイの日であるし、元々
ジュリアス・シーザーが腹心ブルータスに暗殺された日である。
まさに政治とは権力を握るため、正義を捨て、人を裏切りることと
再認識する映画、正にシェイクスピア悲劇である。
この映画を見た上で、大統領選挙の行方を見ると面白さ倍増と
なります。お奨めですゾ。
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