1941年真珠湾攻撃により太平洋戦争が始まった。
1945年8月15日、日本は無条件降伏した。
つまり今年2011年は太平洋開戦から70年、終戦から65年の節目の年。
ということになる「戦争を風化させない、記憶の継承ということで」
作られた映画が、「太平洋の奇跡、フォックスと呼ばれた男」である。
第一次世界大戦の後、サイパン島は日本の委任統治領であった。
よって当時33,000人の日本住人が住んでおり、43,000人の日本軍がいた。
サイパンが米軍に占拠された後、ここから飛び立ったB-29が東京大空襲や
広島・長崎に原爆を落としたことを鑑みれば、この島が如何に重要な拠点
であったことがわかる。
敗戦色強まる1944年、遂に米軍はサイパン島に上陸した。日本軍は万歳
突撃を決行し玉砕した。しかし生き残った兵隊を組織しゲリラ戦術を駆使
して米軍を翻ろうし抗戦をし続けた隊長がいた。その軍人こそ大場大尉
(竹野内 豊)であった。米軍は彼をフォックス(狐)と呼び恐れた。
この原作者は元米軍海兵隊のドン・ジョウーンズ氏、この戦争実話を聞き、
取材して書き上げたものである。また映画の作り方は日本軍側の監督を
平山秀幸(必死剣、鳥刺し)米軍側の監督をチェリン・グラック(サイド
ウェイズ)と二人の監督が務める事により中立的さとリアルさを追求した。
この日米両サイドの視点で作る方式は、クリント・イーストウッド監督が
2006年「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」の2部作により見事に
達成されている。本当に戦争映画の作り方も変わってきたものだ。
原作本からいくと、このフォックスはもっとアクションのある戦争活劇に
なるべきだが、やはり敗戦国日本が作る映画となると、戦争の悲しみ悲惨
さを画くことに力点が置かれて違う映画になってしまったのでは?と思う。
今の観点から見ると、大場大尉の様に出来る限り生きて最後まで戦うのが
正しいと思うのだが。当時の大将たちはいさぎよく切腹自刀、兵隊は突撃
玉砕するのが当然という精神構造だった。
また第2次大戦前の日本の勢力地図を見ると大陸も太平洋も相当な範囲を
持っていたし、圧倒的な軍事力を持つ米国との戦争は勝ち目の無い無謀な
戦であり、相当な国民の犠牲が発生すると軍の幹部は知っていたはずだが、
あえて戦争する精神構造だった。
今の我々から観ると上の二つの精神構造は中々理解し難いことである。
またこの映画で日本降伏後も一人戦い続ける兵隊(山田孝之)が居たこと
兵隊や島民に投降を呼びかける男たち(阿部サダヲ)が居たことなど、
戦争の様々が画かれています。
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