昭和36(1961)年ごろNHKで「チャーチルの大戦回顧録」が
毎週放映されていた。第二次世界大戦の貴重な白黒実写フィルム
にナレーターがチャーチルの回想を述べていくものである。
英国BBCが製作したものだが、プロローグとエピローグに時に流れ
るテーマ曲「葬送行進曲」がすごく印象的で、子供心にも、この番組
に引きこまれてしまった。
チャーチルは英国の偉大な政治家であるが、一方ジャーナリストとして
多くの書籍を残し、200万語に及ぶ書「第二次世界大戦」は
1953年のノーベル文学賞を受賞しているのだ!
さてこの映画こそ
「ウインストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」
1940年ヒットラーは東欧と北欧を制圧し、ベルギーとオランダ
そしてフランスに迫っていた。このままでは英国も危ない!
ナチスドイツの侵略を許したのは英国チェンバレン政権がすすめた
対独融和外交であった。この危機を打開すべく戦時内閣として
チャーチル(ゲーリー・オールドマン)が首相に就任した。
しかしチャーチルは保守党内で少数派で嫌われ者、英王室から
の覚えも悪かった。時あたかもダンケルクに英兵30万がドイツに
包囲され、英軍全滅の危機が迫っていた。「ダンケルク」参照
英国保守派はドイツとの和平交渉(英国の主権を認める代わりに
ドイツの東欧支配を認める案)に傾いて行った。
孤立するチャーチルは寸での処、反対を押し切り徹底抗戦を決意し、
彼の言葉によって議会を覆した。
映画は新米秘書タイピストに手紙や演説の草稿する所から
はじまる。チャーチルは30分のスピーチのために5時間も掛ける
男だ。相手を感動させ、説得するのだ!正に20世紀最高の
雄弁家と言われる所以であった。
彼は議会で訴えた
「戦いに負けて滅びた国はない、戦わずひれ伏して復活した国はない」
なるほど これでは説得されますヨ。
ウインストン・チャーチル役は(ゲイリー・オールドマン)「ハリー・ポッター」
「JFK」「レオン」などで憎々しい悪役を演じ、正にキング・オブ・悪役と
いえる人、この映画で見事「アカデミー主演男優賞を受賞した。
オールドマンの受賞は特殊メーキャップでチャーチルに成り切ったことだ
そのメイクをしたのが日本人(辻一弘)である。これで見事にアカデミー
メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞した。
チャーチルの妻(クリスティン・スコット・トーマス)、秘書(リリー・ジェームズ)、
チェンバレン前首相(ロナルド・ピックアップ)、英国王(ベン・メンデルソーン)
監督は(ジョー・ライト)さすが英国人による英国映画でした。
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