ニコルソンは相変わらず濃く、M・フリーマンはいぶし銀
知り合いにも、治療中の人は多い。さらに最近は情報公開時代として、 皆「告知」を受けているらしい、良性でも悪性でも、正確に病状と今後の 進行具合(死を含め)を知らされるのだ。
「治ります、癌と戦いましょう」と言ってくれれば、良いのだが。 「あと6ヶ月の命」「運がよければ やや1年」と言われればどうする。 この映画は上の余命宣告を受けた二人の熟年の男達が、何をするかの ストーリー「最高の人生の見つけ方」に一言。
誠にシリアス、ともすれば暗いテーマを見事に「ヒューマン&コメディー」 に仕上げてしまった。私のお気に入りの監督 ロブ・ライナーですもの、 「さらっと洒落もの」にしてくれるだろうと信じていたが、期待通りでした。
尤も、現実の世界はもっと辛いものと想像する、激しく痛む、呼吸困難、 薬の副作用とかで、ベッドで寝たまま状態の人も多々いるでしょう。 それからまだ年齢が若くて死というものを達観できず、悩む人も多いだろう。
その点、この二人は60過ぎの熟年、ある意味「人生の達人」である。 あと6ヶ月の宣告を受け、当然精神的ショックを受けたが、気を直して 余命をどう生きるか=死ぬまでにやり遂げることをリストアップし (原題のバケット・リストを作成)それを実行することにしたのだ。
さてその二人とは大金持ちの豪腕実業家 エドワード・カール(ジャック・ ニコルソン)と勤勉実直な自動車修理工 カーター・チェンバース(モーガン・ フリーマン)両者ともハリウッドの大物&名優にして、アカデミー受賞者だ。
映画のキャラクターも両者そのもの、二人を想定した脚本にも思える。 多分台本を与えて、映画の主題(コンセプト)を知らせば、あとは好きな 様にさせても名作が出来上がると思いました。
エドワードは独善的で皮肉屋である、カーターは知的で良識派、 全く異なる熟年の男二人の掛け合いは誠に面白い、爆笑と人情味の連続、 ニコルソンは年老いても相変わらず濃く、M・フリーマンは正にいぶし銀の 魅力を発揮してくれた。
米国のコメディーは洒落た会話の連続である。特にロブ・ライナーものは 「アメリカン・プレジデント'95」「迷い婚 '05」と常に台詞が際立っていて 好きだナ。
さて、50代後半を過ぎると、同期で亡くなる人もでてきて、死というものを 意識する様になる、この映画、笑いながら見てしまったが、同じ境遇になったら 自分はどうするか?といえば・・とても死というものを達観できませんワ。
あなたのバケットリストは?と聞かれたら、まだまだ煩悩が強くて、俗っぽく、 恥ずかしいものになってしまいそう、 神様!私の人間が出来上がるまで、 もう少し時間をいただきたくお願いいたします。
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